こんにちは。代表理事の高梨子です。夏休みに入って子どもたちの1日のリズムが崩れたり、兄弟がいっしょに過ごす時間が増えてケンカも増えて…なんてことありませんか?親も一緒にいる時間が増えたことで、子どもたちの感情にも振り回され、イライラすることが増えているんじゃないでしょうか。
どうしても親としての仕事は感情労働となりストレスが大きくなります。自分のペースでできない分、自分自身の感情をコントロールさせなければならなかったり、緊張感を持つ時間もふえるため、疲労感が大きくなるのです。自分自身の感情を抑えなければならないということ自体が、心的負担は大きく、長時間になるほどそのダメージも増大。そして回復にも時間がかかります。
このような理由があるため、ご自身のことをダメな親だと責めないでほしいと思います。ですが頭ではわかってはいても、しんどい…と感じてしまうもの。セラピストとして我が家では、兄弟ゲンカとどう向き合ったのか、ヒントになればと思い、シェアさせていただきます。
兄弟ゲンカの状況
我が家は小学4年と1年の男の子兄弟です。元々長男は今年の3月から不登校で1学期はほとんど学校に行かずマイペースにオンラインでの自宅学習を進めたりしていました。
夏休みに入ってから、そしてここ1週間くらいが特にケンカがひどく、次男の事を見下す発言、言葉で一方的に攻め言い負かす、ちょっとしたことで揚げ足をとるなどあるあるな状況かもしれません。こういったやりとりが増えていって、一触即発!みたいな時も。
私自身の対応は、その時々の状況をみて悪いと思った方に怒るということをしてきていました。その兄弟ゲンカを見てイライラが募り、感情的になることも増えていたという状況です。
私は基本在宅での仕事なので、1日中子どもたちと過ごします。実は我が家、3週間ほど前に地元を離れて札幌に引っ越しをしてきました。なので、子どもたちも知り合いが全くいない状況ということもあり、先週から児童クラブに行くようにしています(長男も行けました)、私自身も一人時間が作れるようにもなったのです。
長男のストレスがピークに
明らかに長男がピリピリしている感じなんですよね。ストレスの発散ができずに次男に当たっている。ストレスもたまっていっているから、よくなってきていたアトピーの湿疹もまたひどくなり、夜も寝つきが悪く、中途覚醒をするという感じになっていました。本人は暑くてイライラするとは言っていますが、暑いからではなく、イライラするから余計に暑くなっているという感じです。
ストレスで炎症反応を起こすので、体温も上がり、アトピーの痒みもひどくなる。掻くとまた炎症がひどくなり…の悪循環です。
次男に対して思うこと
まずは、次男がお風呂に入っている間に次男に対する思いを聞いていきました。
・なんでイライラするの?
・何にイライラするの?
・言おうとしてるタイミングで話されるとなんでイライラするの?
・話を聞いてもらえないと何で悲しいの?
などと、一つずつ聞いていくと、自分だけ話ができない事、次男を優先されると思って悲しくなる、一人ぼっちな孤独感が出てきました。
呼吸を整え、ネガティブ感情は解消。次男の事を考えてもイライラしなくなったと。
自分から苦しさを話してくれた
次男に対する課題が解消できたからこそ、次の課題も。もともと持っていた問題も、本人の中で解消すべき問題として認識できたようです。
長男の方から、引っ越しをしてから心が痛くなることが増えたと、話してくれました。
ママが夜前の家に一人で帰っちゃうんじゃないか、不安と恐怖心。ちゃんとしていないと、ママの邪魔になったらいらないって思われるんじゃないか。見放される怖さ、もう口を聞いてもらえなくなる悲しさ、孤独感などがありました。
こういった心の奥の不安や恐怖心は、事実としてそんなことは起こっていなかったとしても、勝手にひどい状況を想像して囚われてしまうといった特徴があります。本人の中で問題を作り出してしまい、自分で自分のハードルを上げてあげてしまうのです。完璧主義的な行動の背景には、こういった不安が隠れていることがとても多くあります。
大泣きしていたのが一瞬で止まり、すっと眠れる
この話をしている時は、感情がかなり高ぶっており、大泣き。深呼吸もまともにできる状況ではありませんでした。なので泣いていても、答えられなくても、質問を繰り返していきました。
私が直感で降りてきた質問をしていって、うなずきで返答してもらうという感じです。
それを繰り返し、一番奥の孤独感が出てきたときには呼吸も落ち着き、泣き止んでいました。なので、呼吸を整える誘導をすると、大丈夫!ないよ!と。
不安や恐怖心、悲しみ、孤独感は解消されたようです。そのまま寝室に行き、すっと眠りに入れました。
母自身の課題
子どもや他者との問題って、いろいろな側面から向き合うことができます。
①相手の行動に怒りを感じる理由
②自分の感情コントロールができない事自体へのネガティブさ
③相手と向き合えていない事
似ているようで別々の問題でもあります。なので、その時感じている問題と向き合っていくことが大切です。解消したつもりなのにまだ感情がブレるといった時は、別の問題が隠れているので、視点を変えてみるといいでしょう。
今回改めて気づいたのは、兄弟げんかの時、どっちが悪いってジャッジした対応しかできてなかったということ。そして、それは兄弟げんかじゃなくても、子どもたち一人ひとりの行動に対して、私のジャッジ本人たちの話を聞く前に、怒ることが増えていたということ。
改めて心の余裕を持って、良い悪いではなく、なぜそれをしようと思ったのか、そんな風に言うのはなぜか?立ち止まる時間もつくっていきたいって思います。
どう向き合えるのかが一番大切
改めて、認知行動療法+読心術のスキルが身についててよかったと感じました。短時間でグッと奥の問題を引き出すことができると、大泣きするほど苦しい思いでも、ピタッと涙が止まります。翌朝にも引きずらず、ケロッとしているのが特徴です。
子育てをしていると、子どもが年を重ねるごとに、社会が拡がるたびに、新しい課題が出てきますよね。
問題が出ないようにするということは、どう頑張っても難しいです。なので、問題を起こさないことに意識を向けるのではなく、問題が起きた時にどう向き合えるのか?向き合い方を大切にしてほしいと思います。
これができると、子どもたち自身でも向き合うチカラが付きます。そして自分ではどうにも解消できなければ頼るといった選択肢も判断できるようになっていくでしょう。そうすると、苦しいと感じる時間そのものを減らしていくことができるので、人生に豊かさを拡げていくこともできるのです。
本人の中でも苦しさを体験して乗り越えられた経験は、自信にもつながります。感情が高ぶっているわが子に対して冷静に苦しくなると思うような質問を投げかけることに心苦しさを感じるかもしれません。ですがここでどう関われるかで苦しさの解消具合も変わってきます。親として焦らず、向き合える心と時間を育ててみてくださいね。