カウンセリングをしていると、ふとした瞬間に「このクライエントさんは本当に変われるのかな?」と不安になること、ありませんか?
また、「この人は大丈夫!」と心から思えたときに、驚くほどの変化が生まれた経験はないでしょうか?
私自身、自分の問題と向き合っていった先に、あらゆる感情がニュートラルになりました。
そうなってからのセッションやセミナーでは、「話しているだけで問題が解決できました。」「セミナーなのになぜかとても癒されます」「話しているだけで安心できます」と言われることがとっても多くなったのです。
これは私自身が絶対的な安心感、未来への希望を心の底から感じているからだと思います。
クライエントの未来は、カウンセラー自身がどんな未来を信じているかによって大きく影響を受けます。
✅ 「この人は変われる」と信じているカウンセラーの元では、クライエントも成長しやすい。
✅ 「この人は難しいかも…」と思っていると、クライエントの変化も停滞しやすい。
これが、ミラーニューロンの働きによる影響です。
※ミラーニューロンとは他者の行動や感情を無意識に模倣・共鳴する神経細胞。相手の表情や言葉から「感じ取る」働きを持ち、共感や学習、コミュニケーションに影響を与える。
クライエントは無意識のうちに、カウンセラーの「未来観」も受け取り、それが自分の行動や思考のベースになることも。だからこそ、カウンセラー自身が「どんな未来を信じているか」が、クライエントの変化の可能性にも影響しているのです。
ただし、「カウンセラーだけの視点」に偏りすぎると、クライエントの成長を妨げてしまう危険もあります。そこで今回は、カウンセラーの未来観がクライエントに与える影響と、よりバランスの取れた関わり方について考えていきます。

1. カウンセラーの未来観がクライエントに与える影響
① カウンセラーの「限界」が、クライエントの限界を決める
「この人は、これくらいが現実的かな」
カウンセラーがそう考えた瞬間、クライエントの未来には「リミット」がかかります。
例えば…
🔹 「今のままでもいいよ」 → クライエントは「このままでいいんだ」と思う。
🔹 「もっと可能性があるよ!」 → クライエントは「そうか、もっと挑戦していいんだ!」と思う。
クライエントは、カウンセラーが見えている範囲の未来しか選べないんです。
だからこそ、カウンセラー自身が「より広い未来」を信じられるかどうかが大切になります。
② 言葉が潜在意識に影響する
「あなたは大丈夫」「未来は必ず良くなる」
この言葉を心の底から信じられるかどうかで、クライエントの自己認識は変わります。
でも、「現実は厳しいよね」と思いながら関わるとどうでしょう?
勝手に限界を決めた声掛けや、現実的にはこうしたほうがいいという関わり方が増えてしまいます。また、クライエントの心の中に、「やっぱり私は無理なのかも」という思いが根付いてしまうかもしれません。
カウンセリングにおいて、カウンセラーの言葉は無意識で「刷り込まれる」もの。
だからこそ、クライエントが「希望」を持てる言葉を使うことが大切です。
2. カウンセラーの未来観だけでは、逆効果になる?
ここで、あえて「未来観を持つことの落とし穴」についても触れておきたいと思います。
カウンセラーが「この人は変われる!」と強く伝えすぎると、逆にクライエントの負担になることもあるんです。
① クライエントの「主体性」を尊重できているか?
カウンセラーの未来観が強すぎると、クライエントが「こう変わらなきゃいけない」と感じてしまうことがあります。これはカウンセラーのエゴになりますs。
問題解決の本質は、「クライエントが自ら未来を選ぶこと」。
だからこそ、カウンセラーのビジョンを押し付けるのではなく、「どんな未来が望ましいか?」をクライエント自身が考えられる関わり方が重要です。
② 環境要因や外部サポートの視点も持つ
変化には、個人の内面だけでなく、環境や制度、支援ネットワークも関わります。
例えば…
🔹 職場環境が悪ければ、カウンセラーの励ましだけでは限界がある
🔹 家族や友人の理解がなければ、自己肯定感が下がりやすい
クライエントの成長を促すためには、カウンセラーの言葉だけでなく、「環境や支援をどう活用できるか?」という視点も大切なのです。どんな環境に身を置けば、よりクライエントの描く未来に近づけるか?一緒に考えてみましょう。
また他者の意見に振り回されてしまう状況は、まだまだクライエントの中に、他者評価を気にしてしまう認知の偏りが存在しています。未来設定でつまった場合はそういった問題の解消も目指していけると良いでしょう。
3. カウンセラーができる「より良い関わり方」
では、カウンセラーとして**「未来観を持ちつつ、バランスよく関わる方法」**とは?
① クライエントの「選択肢」を広げる
「この道しかないよ」と伝えるのではなく、「こんな選択肢もあるよ」と示していく。
🔹 「この方法も試せるよ」
🔹 「もし今は難しいなら、こういうアプローチもあるよ」
そう伝えることで、クライエント自身が未来を選べるようになります。
② クライエントのペースを尊重する
変化には、「準備ができている人」と「まだ心の準備ができていない人」がいます。
カウンセラーが焦ると、クライエントも焦ってしまい、結果としてプレッシャーになってしまうことも。
だからこそ、「この人のペースに合わせて、変化を待つことも大切」なのです。
③ 環境要因や支援制度も視野に入れる
カウンセリングの中で、「クライエントがどんなサポートを受けられるのか?」を一緒に考えるのも大切です。
例えば…
✅ 職場のハラスメント対策制度があるか?
✅ 地域の支援制度が活用できるか?
✅ 家族や友人の協力を得られる環境か?
クライエントが変化しやすい環境を整えるサポートも、カウンセラーの役割のひとつです。

まとめ
カウンセラーの在り方は、クライエントの未来に強く影響を与えます。
でも、ただ「希望を持とう!」と言うだけではなく、クライエントが自分で選び、成長できる関わり方が必要。
✅ カウンセラー自身が「広い未来」を信じること
✅ クライエントの主体性を尊重すること
✅ 環境要因や支援制度も視野に入れること
この3つの視点を持つことで、よりバランスの取れたカウンセリングが可能になります。
カウンセラーが成長し続けることが、クライエントの可能性を広げていきます。
だからこそ、私たち自身が「どんな未来を信じているか?」を大切にしていきたいですね。
もし、カウンセラーであるあなたが、現実的なことしか見えていなかったり、絶対的な安心感を感じたことがないようでしたら、まずはご自身が作り上げている「枠」を内観しながら解消していけると良いですね。