「暗号資産って、投資のイメージが強いけど、実際どうなの?」
「ニュースで聞くけど、自分の生活には関係ないと思っていた」
そんな風に思っていませんか?
実は今、日本の暗号資産は大きな転換期を迎えています。2025年は、暗号資産が「投資の道具」から「日常で使えるお金」へと変わり始めた年として、後々振り返られるかもしれません。
この記事では、今まさに起きている変化を、できるだけわかりやすくお伝えします。専門的な話は最小限に、「私たちの暮らしにどう関係するのか?」という視点でまとめました。
1. 銀行が暗号資産に本格参入へ
金融庁が、銀行による暗号資産の保有を認める方向で検討を進めています。
これまで銀行は、暗号資産を「投資目的」で持つことが実質的に難しい状況でした。しかし2025年10月、金融庁がこの規制を見直す動きを見せています。Bloomberg 2025年10月20日、日本経済新聞 2025年10月21日などが報じています。
銀行が暗号資産に参入すれば、より安全で使いやすいサービスが増える可能性があります。今は暗号資産取引所の口座を別に作る必要がありますが、将来的には普段使っている銀行のアプリで暗号資産を扱えるようになるかもしれません。
参考: 金融庁公式サイト、CoinPost 2025年10月22日報道
2. インサイダー取引が禁止に―株式と同じルールへ
暗号資産にも、株式と同じようなインサイダー取引の規制が導入されます。
2026年の通常国会で、金融商品取引法の改正案が提出される予定です。これにより、内部情報を使った不正な取引には課徴金や刑事罰が科されるようになります。参議院資料 2025年10月28日、日本経済新聞 2025年10月16日、CoinPost 2025年10月15日
ルールが明確になることで、市場がより公正になり、一般の人も安心して参加しやすくなります。「怪しい」というイメージが薄れ、信頼できる投資先の一つとして認知されていくでしょう。
3. 「1枚 =1円」のデジタル通貨が登場―JPYC
円建てのステーブルコインJPYCが、正式に発行開始されました。
JPYCは、1JPYC=1円の価値を持つデジタル通貨です。2025年8月18日に資金移動業者として関東財務局に登録され、10月27日に正式発行が開始されました。PR TIMES 2025年10月24日、Impress Watch 2025年10月26日
価格が変動しないため、日常的な買い物や送金に使いやすいのが特徴です。例えば海外への送金が、銀行を通さずに早く安く済むようになります
4. ゆうちょ銀行も参入―DCJPY
ゆうちょ銀行が、2026年度中にトークン化預金「DCJPY」の取り扱いを開始予定です。
これは、預金をブロックチェーン上で扱えるようにしたものです。ゆうちょ銀行公式発表 2025年9月1日、朝日新聞、日本経済新聞
全国どこにでもあるゆうちょ銀行が参入することで、高齢者や地方在住の方も含め、より多くの人がデジタル通貨に触れる機会が増えます。
5. 3メガバンクが円建てステーブルコインを発行へ
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクが、2026年3月までに1兆円規模の円建てステーブルコインを発行する予定です。
三菱UFJ信託銀行が開発した「Progmat」というプラットフォームを使い、大規模な発行が計画されています。日本経済新聞 2025年10月17日、CoinDesk Japan 2025年10月17日
3大銀行が参入することで、デジタル通貨の信頼性と普及が一気に加速します。企業間の決済だけでなく、個人の買い物にも使える未来が近づいています。
6. PayPayとBinance Japanが提携
PayPayが、暗号資産取引所Binance Japanの株式40%を取得し、資本提携しました。
2025年9月から持分法適用会社となり、PayPayのサービスと暗号資産がより密接に結びつく可能性が出てきました。PayPay公式プレスリリース 2025年10月9日、Reuters、CNET Japan
将来的に、PayPay残高と暗号資産を相互に交換できたり、PayPayで暗号資産を購入できるようになるかもしれません。スマホ決済がさらに便利になる可能性があります。
7. JPYCでクレジットカードの支払いができる
日本初、ステーブルコインJPYCでクレジットカードの返済ができるサービスが始まりました。
ナッジ株式会社が提供する「Nudgeカード」で、JPYCを使った返済が可能になりました。ナッジ株式会社プレスリリース 2025年9月11日、CoinDesk Japan
暗号資産を持っているだけでなく、実際の支払いに使える範囲が広がっています。これまで「投資」だったものが、「お金として使う」ものに変わってきています。
8. ふるさと納税もJPYCで支払い可能に
ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で、JPYC決済の導入が検討されています。
運営するチェンジホールディングスが2025年10月31日に発表しました。CoinDesk Japan 2025年10月31日、CoinPost、PR TIMES
ふるさと納税という身近な制度で暗号資産が使えるようになれば、より多くの人が「暗号資産を使う体験」をすることになります。
9. 大和証券が暗号資産担保のローン開始
大和証券グループが、ビットコインやイーサリアムを担保にしたローンサービスを開始しました。
最大5億円まで借り入れ可能で、実質年率4.0〜8.0%です。Fintertechプレスリリース 2025年10月1日、CoinDesk Japan、日本経済新聞
暗号資産を売却せずに、必要な資金を借りられるようになりました。暗号資産が「資産」として正式に認められ、活用の幅が広がっています。
10. SBI証券が株主優待でXRPを進呈
SBIホールディングスが、株主優待として暗号資産XRPを進呈すると発表しました。
100株以上保有で2,500円〜1.2万円相当のXRPがもらえます。SBIホールディングス公式発表 2025年10月29日、CoinPost、ダイヤモンドZAi
株式投資をしている人が、自然と暗号資産に触れる機会が生まれます。「試しに持ってみる」きっかけとして、ハードルが下がります。
まとめ:「使えるお金」へと進化する暗号資産
2025年の日本では、暗号資産が「投資の対象」から「実際に使えるお金」へと変わり始めています。
大きな変化のポイント:
- 銀行や大手企業が次々と参入
- 法整備が進み、安全性が向上
- 日常の買い物や支払いに使える場面が増加
- 価格が安定したステーブルコインの普及
もちろん、暗号資産にはまだリスクもあります。価格変動が大きいものもありますし、技術的に難しい部分もあります。
でも確実に言えるのは、「知らないまま過ごす」のではなく、「少しずつ理解して、自分に合った関わり方を見つける」時代になってきたということです。
無理に投資を始める必要はありません。でも、「こんな使い方ができるんだ」「こんなサービスが始まったんだ」と知っておくことで、将来の選択肢が広がります。
変化の波は、思っているよりも早く、身近なところまで来ています。
参考情報:
※この記事の情報は2025年11月時点のものです。暗号資産に関する規制や状況は変化する可能性がありますので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。