「先輩やプリセプターとの関係にストレスを感じる」
「人間関係の悪化から、看護にまで自信をなくしてしまう」
「自分だけ職場で孤立している気がする」
など、職場での人間関係に疲弊している看護師も多いのではないでしょうか?
厚生労働省によると、令和4年の精神疾患で労働災害の請求件数が最も多いのは医療・福祉で624件でした。調査の結果から、医療現場では人間関係に悩む人が多いことが見てとれます。
参照元:厚生労働省「令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」
この記事では、看護師が人間関係のストレスを少しでも軽減するためのコツや対処法を、よくあるお悩み別に解説します。記事を読み、自分に合った対処法で次のステップへと踏み出しましょう。
目次
人間関係を改善させる4つのポイント

はじめに、看護師に限らず人間関係を改善したいときに押さえておきたいポイントを以下の4つお伝えします。
- 相手を変えようとしない
- 自分の考え方を変える
- 自分の行動を変える
- 環境を変える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1)相手を変えようとしない
大前提として、相手を変えようとするのはほぼ不可能だと考えておくとよいでしょう。
人はそれぞれの価値観や信念に沿って行動しています。本人が「変わりたい」と願っていない限り、なかなか変われないものです。
それでも相手に「変わってほしい」と期待すると現状が変わらず、大きなストレスとなって自分に返ってきます。

相手が変われないのは、あくまでも相手が解決すべき課題です。自分と相手の課題を切り離して考えられるようになると、人間関係のストレスが大きく軽減されます。
2)自分の考え方を変える
前述したように、相手を変えようとすると対人関係がいつまでもハードモードになります。一方、自分の考え方を変えるなら、ある程度自分でコントロールできます。大きく変える必要はありません。少し変えるだけで、相手も変わることが多々あります。
※ただし「自分の考え方を変える」というのは、決して我慢したり無理やりポジティブに変換して自分を納得させるということではありません。
人間関係は相手が変わるのを待つよりも、自分でコントロールできる部分から変えていくほうがはるかに早く楽になれるということです。
3)自分の行動を変える
人間関係を変える3つ目のポイントは、自分の行動を変えることです。
自分の考え方が変われば、行動も変えられます。
たとえば苦手な先輩がいて、話しかけづらくストレスを感じているとしましょう。そこで、自ら先回りして報告や相談をするなどして行動を変えてみます。すると、今までより相手とのコミュニケーションが取りやすくなることがあります。
自分の行動を変えると相手にも変化が起き、その結果、現実が変わることが往々にしてあるのです。
4)環境を変える
人間関係を改善するポイントとして最後にお伝えするのは「環境を変える」です。
人間関係によるストレスですでに心や体に不調が出ている場合、まず環境を整えて自分を守るのが最優先です。
※注意:以下の項目に当てはまるなら我慢しすぎのサインです。
・体は疲れているのに眠れない
・好きな趣味などを楽しめない
このような状態がほぼ毎日、1週間以上続くなら医療機関を受診しましょう。
環境を変える方法は、以下2通りあります。
- 自らの働きかけで環境を変える
- いまの職場から離れて環境を変える
自ら働きかけるというのは、人に相談しストレスを減らす環境にするということです。
残念ながらいくら自分の考え方や行動を変えても、理不尽な対応をする人は一定数存在します。
我慢を続けて心身ともに壊れてしまうと、働くことすら困難になりますよね。
そうなる前に、権限のある人に相談し異動や勤務体制の見直しを打診してみましょう。
職場自体を変える場合は、人員に余裕のある病院を選ぶのもおすすめです。
自分と合わない人はいるかもしれませんが、合う人に出会う確率も高くなります。
看護師からの転身や起業にご興味のある方は、以下の記事もご参照ください。
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看護師の人間関係でよくある悩みと対処法

ここからは、看護師の人間関係によくあるお悩みを大きく以下5つに分けてお伝えします。
あわせて、前述の人間関係を改善するポイントを踏まえた対処法も見ていきましょう。
- 先輩からの厳しい指導で自信を失いがち
- 同期と自分を比較してしまう
- 異なる指示に振り回されてしまう
- 特定の人との相性が悪い
- 後輩指導で厳しい口調になりがち
1)先輩からの厳しい指導で自信を失いがち
新人の頃は、プリセプターや先輩の指導が厳しくて自分を責めてしまう人も多いのではないでしょうか。
まだ経験の浅いうちは、自分ができていない部分ばかりを指摘されると萎縮してしまいます。自信をなくしミスを多発、さらに自信をなくす…という負のループにおちいりがちです。
一方、先輩看護師も日々の業務をこなしつつ後輩の面倒を見る余裕がありません。
時間がないので、できていない部分を指摘するだけで精一杯であることも考えられます。
【対処法】
相手の言い方が感情的になる、あら探しのような状況になるのは、よい指導法とはいえません。しかしそれは、あくまでも相手の課題です。
自分の問題だととらえて、自責しすぎないようにしましょう。
また指導法を変えてほしいと思うのは自然なことですが、実際に変えられるかというとなかなか難しいものです。
自分の見方を変えるほうが、より早く問題解決に近づきます。
たとえば、先輩がどういう目的でそのような言い方になっているのかを想像してみます。
そこには「患者を待たせたくない」「新人をはやく一人前に育てたい」などの目的があるかもしれません。
そこまで考えられたら、自分にできることはないか模索します。
たとえば連絡や報告は積極的におこなう、自分が今持っている仕事を紙に可視化して指示をあおぐのもよいでしょう。
先輩が忙しそうで話かけるタイミングがない場合は、機会を改めます。
自分がどうしてその対応をしたのか、落ち着いたタイミングで話すのも効果的です。
攻撃的な人には、自分の指摘されたポイントに対して「〜がよくなかったので、今後●●しようと思います」まで伝えてその場を収めるのがおすすめです。
もし辛くて受け流せない場合は、我慢せず信頼できる上司に相談する勇気も必要です。
心身ともに疲弊してしまう前に、部署異動や勤務体制の見直しを打診してみましょう。
2)同期と自分を比較してしまう
ミスをして落ち込んでしまったとき、楽しく仕事をしている同期を見て自分だけできていないと感じることもありますよね。
人が自分よりできるように感じると「周りから見て、自分がダメだと思われるのが怖い」という思いにもつながりやすいでしょう。
【対処法】
人と比べることはモチベーションにもつながるので、決して悪いことではありません。ですが比べてばかりで辛い人は、比べる対象を他人ではなく、過去の自分にしましょう。
他人と比べ自分を許せない人は、自分ができて他人ができないことも責めてしまいがちです。そうすると良好な人間関係が築けません。
そもそもですが、人にはそれぞれ苦手な分野、得意な分野があります。
仕事ができているように見える人でも、必ず何か苦手なことがあるはずです。
自分のできないところを受け入れると、人の助けを借りやすくなります。そのうえで、他人のよいところは自分に取り入れるようにすると、比べても落ち込むことが減るでしょう。
3)異なる指示に振り回されてしまう
看護の現場では、プリセプターと他の先輩が提案する方法が異なることがよくあります。
経験の少ない看護師の場合、どちらを選択すべきか悩むことも多いかと思います。
やり方が違うと注意されることもあり、混乱してしまいますよね。
その場合の対処法は以下の通りです。
【対処法】
どの指導にも間違いはなく、違いであるにすぎないと考えましょう。
「正しさ」を追求するのも、人間関係が悪化する原因です。
重要なのは、どちらの提案も受け取ったうえで最良だと思う方法を自分で選択することです。
自分で考え選んだことなら、注意された場合にも説明ができます。
説明するときは相手を立てて「自分なりにこう考えてこうしましたが、いかがでしょうか?」と聞くのがおすすめです。最終判断は相手にゆだね、決して相手を無視したわけではないと伝えます。
このとき「●●さんの指示で〜」と名前を出すのも避けましょう。
人間関係に亀裂が入るリスクがあります。
4)特定の人との相性が悪い
ある看護師がなぜか自分だけに厳しい、自分には話しかけてくれないというのもよくあるお悩みです。
同期は先輩と仲が良いのに、なぜ自分だけ?と思うと、モチベーションも自信もなくしてしまいますよね。好き嫌いが激しい先輩や師長がいる職場も、なおさら厄介です。
【対処法】
まず自分が全員に好かれようとしていないか、考えてみましょう。
2:6:2の相性の法則をご存じでしょうか?
10人いれば、2人は自分を好ましく思い、6人は普通、残り2人は苦手に感じているという法則です。
この法則を知れば、人間関係のストレスが軽減できます。
たとえ特定の人から好ましく思われていなくても、仕事には直結しません。
看護師の仕事は、患者さんをしっかりケアすること。
きちんと仕事をこなしていれば、他の看護師からも医師からも信頼は得られます。
信頼と相性は切り離して考えてみましょう。
※(1)先輩からの厳しい指導で自信を失いがちの項目も参考にしてみてください。
とはいえ、なかには自分のストレスのはけ口として特定の人を攻撃する人もいます。その場合は決して無理をせず、シフトに配慮してもらえないか、権限のある人に相談しましょう。
変わる見込みがないなら、転職も視野にいれて環境を変えることも必要です。
5)後輩指導で厳しい口調になりがち
指導する先輩側のお悩みとして、以下のような声が聞かれます。
「プリセプターとして後輩に成長してほしい気持ちが強く、ついつい口調がきつくなってしまう」
「師長になったものの、スタッフがやる気を出さず厳しく指導してしまう」など。
指導を任された先輩看護師も、人に教えることには慣れていないケースがほとんどです。
マンツーマンの指導では、教える側にもプレッシャーがかかります。
後輩との関わりをどう持つべきか、悩む看護師も多いのです。
【対処法】
厳しい指導で後輩を育てる方法は、即効性があります。
なぜなら指導される側は恐怖を避けるため、すぐに行動するからです。
しかし自発的に考えた行動ではないため身につかず、長期的には続きません。
そればかりか、後輩の自信を奪いミスが増え、本末転倒になることも。
結果ばかりを追い求めると、できていない面にばかり目がいきがちです。
後輩の意欲を高めるには、できた過程にフォーカスしてみましょう。
また指導する際は、やり方をいくつか提示して後輩に判断をゆだねる方法も効果的です。
後輩が自分を信頼してくれたと実感できるので、よい関係が築けるでしょう。
看護師の人間関係が悪化する原因

最後に、看護師の人間関係が悪化する原因を大きく3つに分けてお伝えします。
- 患者や他職種と深く関わる立場だから
- 責任が重く常に強いストレスがかかる
- 夜勤で生活リズムが乱れやすい
患者や他職種と深く関わる立場だから
看護師は医療現場において、他職種との連携の中心に位置します。
他にも患者さんや、その家族とも深く関わることが求められます。
そのため、看護師どうしのコミュニケーションが後回しになりがちです。
コミュニケーション不足により連携がうまくいかなくなると、人間関係に亀裂が入る原因になります。
責任が重く常に強いストレスがかかる
医療現場では、判断ミスが重大なインシデントに発展することもあります。
看護師は常に強いストレスにさらされ、精神的な余裕が維持できないこともあるでしょう。
その結果、他の看護師への接し方が雑になったり、感情的な衝突が生じやすくなります。
夜勤で生活リズムが乱れやすい
看護師は夜勤もあるため、生活が不規則になりがちです。
睡眠をとるタイミングが不規則になると、眠りが浅くなり睡眠の質が低下します。
睡眠不足や睡眠の質の低下は疲労とストレスに直結するため、感情が不安定になりやすく、ささいなことでもイライラしてしまいがちです。
その結果、同僚との衝突が生じるリスクも高まります。
人間関係で何度も同じ悩みを繰り返さないために
人間関係は複雑ですが、今回ご紹介した4つのポイントを意識することで少しずつ変化を実感できるはずです。
相手を変えようとするのは容易ではありません。
自分の考え方や行動を見直し、環境に働きかけることが人間関係の改善への近道となるでしょう。
自分の考え方や見方を変えるには、自分と向き合うことが大切です。
人はそれぞれ心の奥の感情を表面化させないよう、思考でフタをするものです。
思考のクセを解きほぐして奥の感情に寄り添うと、生きづらさが解消され、人間関係も改善していきます。
もしあなたが人間関係で何度も同じ悩みを繰り返しているなら、一度自分と向き合い苦しさの元を解消すると心が楽になります。
自分との向き合いかたが分からない場合は、セッションの方法を学んでみるのもよいでしょう。
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