看護師としての働き方には、①医療施設、②地域・在宅、③産業分野、④その他の選択肢があります。それぞれに特徴があり、需要や供給状況、必要なスキル、自分のライフスタイルとの相性を見極めることが重要です。
代表理事の高梨子は急性期の総合病院で10年、診療所、デイサービス、そして個人事業主+法人経営の働き方をしてきました。時にはファイナンシャルプランナーがメインの時もありましたが、医療現場とはかけ離れた仕事内容だとしても、看護の知識や経験はとても重要でした。業務内容は異なったとしても今までの経験は無駄になることはありません。むしろ業界が違うからこそ新しい価値を生み出すことができるといった点では非常にポジティブに働きます。
これからの働き方に悩んでいる方はぜひ、様々な働き方を知るところから始めてみてくださいね。本記事では、様々な働き方の違いや、向き不向き、選び方などについて詳しく解説します。
<目次>
① 医療機関で働く場合
②地域・在宅で働く場合
③ 産業分野で働く場合
④その他、看護師経験を活かして個人で働く方法
1. カウンセリングやコーチングの提供
2. 看護師向け教育やセミナーの開催
3. 執筆や情報発信活動
4. 健康・予防医療分野のビジネス
5. 看護師エージェントとしての活動
稼ぎたい人!一番収益性が高くなる働き方は?
縛られたくない!自由度が高い働き方は?
穏やかにいたい!心身の健康を維持できる働き方は?
さいごに
① 医療機関で働く場合
看護師として医療機関で働くことは、スキルアップと安定したキャリア形成の両方を実現できる魅力的な選択肢です。大規模病院では高度な専門性を磨き、急性期医療や特定診療科での経験を積むことが可能です。一方、診療所やクリニックでは、患者と密接に関わりながら、家庭との両立がしやすい働き方が実現できます。高齢化社会が進む中、医療機関での看護師需要は増加しており、それぞれの働き方の特性を理解して、自分に合った職場を選ぶことが成功への第一歩です。
選び方
- 専門スキルを深めたい場合は、診療科や医療機関の規模を重視。
- 安定収入や福利厚生を求める場合は、大規模病院、公立医療機関、または地域の中核的な医療施設が適している。
- 夜勤やシフト制がライフスタイルに合うかどうかを確認。
- 診療所勤務を希望する場合は、勤務時間の安定性や家庭との両立がしやすい点を考慮。
需要と供給状況
- 医療機関での看護師の需要は多いが、特定診療科(ICU、手術室など)や急性期医療を担当できる人材は特に不足している。
- 小規模クリニックや診療所では、幅広い業務に対応できる柔軟なスキルが求められる。また、高齢化に伴い、内科や整形外科など慢性疾患を扱う診療所での需要が増加している。
必要なスキル
- 一般看護技術、患者対応力、チーム医療の協調性。
- 診療所勤務では、採血や注射、診療補助、患者の健康管理など多岐にわたる業務をこなすスキル。
- 患者と密接に関わるため、コミュニケーション能力が特に重要。
向いている人
- 臨床経験を積みたい人。
- チームで協働することが好きな人。
- 学び続ける意欲があり、専門性を深めたい人。
- 診療所勤務では、患者との信頼関係を築き、長期的に関わることを楽しめる人。
向いていない人
- 夜勤や長時間勤務に対応する体力がない人(大規模病院の場合)。
- 決まった勤務スケジュールを求める人(病院勤務の場合)。
- 緊急性のある対応が苦手な人(急性期病院の場合)。
- 診療所勤務では、幅広い業務を同時進行する柔軟さが苦手な人。
まとめ
医療機関での勤務は、看護師としての基礎を築き、専門スキルを磨くための最適な環境を提供します。特に大規模病院では高度なスキルを習得する機会が豊富で、診療所では家庭と両立しながら安定した働き方を実現できます。それぞれの働き方の特徴を理解し、自分のライフスタイルやキャリア目標に合った選択をすることが重要です。
総合病院から診療所に移ったときは、感染対策の甘さや、コスト意識の違いに驚きました。医療機関の規模や診療科等によっても経営方針等は異なるため、その違い事前に確認しておくとよいでしょう。
② 地域・在宅で働く場合
地域・在宅で働く看護師の役割は、患者や家族と深く関わりながら、生活の場で必要な医療を提供することにあります。特に高齢化社会が進む中、在宅看護や訪問看護の需要は急速に増加しており、地域医療の重要性が高まっています。訪問看護ステーションや地域包括支援センターでの業務は、柔軟な対応力や家族との信頼関係を築く力が求められます。患者一人ひとりに寄り添うケアを実現したい方にとって、地域での働き方はやりがいを感じられる選択肢です。
選び方
- 在宅看護や訪問看護への興味がある場合、訪問看護ステーションや地域包括支援センターが適所。
- 地域医療や介護との連携に関心があるかどうか確認。
需要と供給状況
- 高齢化社会の進展に伴い、地域看護の需要は増加中。
- 訪問看護の経験を持つ人材は不足している。
必要なスキル
- 在宅環境での柔軟な対応力。
- 患者家族とのコミュニケーション能力。
- 社会資源の活用に関する知識。
向いている人
- 患者や家族とじっくり向き合いたい人。
- 地域社会への貢献を重視する人。
- 自分のペースで働きたい人。
向いていない人
- 外出や訪問の頻度が多い業務が苦手な人。
- チームの支援が少ない環境で孤立感を感じやすい人。
- 急な対応が苦手な人。
まとめ
地域での働き方は、患者や家族とじっくり向き合いたい方や、地域社会への貢献を重視する方に向いています。しかし、在宅看護では、柔軟な対応力やコミュニケーション能力が求められる一方で、診療報酬に依存した収益構造が課題です。自費サービスを導入するなど、安定したサービス運営を目指した設計があるかどうかもチェックするようにしていきましょう。
③ 産業分野で働く場合
現代の企業では、「健康経営」の重要性が高まり、従業員の健康を守ることが企業の業績向上や社会的評価に直結する時代となっています。その中で、従業員のメンタルヘルスケアや健康管理を専門的にサポートする産業看護師への需要が急速に拡大しています。
特に中小企業では、ストレスチェックや健康相談の義務化が進む一方で、専任の健康管理スタッフを配置することが難しいケースも多く、外部機関やコンサルタントとして産業看護師の力が求められる状況です。
産業看護師は、企業内に専従として勤務するだけでなく、健康管理コンサルタントとして柔軟に企業と提携する働き方も可能です。看護スキルを活かしながら、企業課題の解決や従業員の健康促進に貢献できる、非常に柔軟性とやりがいのある働き方です。
選び方
- メンタルヘルスや健康管理に興味がある場合、産業看護師が最適。
- 健康経営の支援や労働衛生に貢献したい場合に適している。
需要と供給状況
- 中小企業のニーズが増加
ストレスチェック義務化や健康経営の浸透により、産業看護師の需要は急増中。 - 供給不足の現状
特に中小企業では専従スタッフの確保が難しく、外部の専門家による支援の需要が高まっている。
必要なスキル
- 健康相談や予防医療に関する知識。
- 労働法や労働安全衛生に関する知識。
- メンタルヘルス対応やストレスマネジメントのスキル。
- コンサルティングスキル(外部提携の場合)。
向いている人
- 定時勤務やワークライフバランスを重視する人
専従として企業内で働く場合、夜勤がない定時勤務が主流。 - 企業の健康経営に興味がある人
健康管理を通じて企業成長に貢献することに意欲を持てる人。 - 新しい分野で挑戦したい人
コンサルタントとして働く場合、看護スキルに加え新たな知識の習得が必要。
向いていない人
- 臨床現場で医療行為を続けたい人
産業看護師は、医療処置よりも健康相談や予防活動が主な業務。 - 企業内での事務的な業務に興味がない人
報告書の作成やデータ管理も業務の一部となる。 - 医療以外の知識を学ぶ意欲が低い人
労働法やストレスマネジメントなど、医療以外の分野への関心が求められる。
まとめ
産業看護師の働き方は、医療と職場環境の両面から従業員を支える重要な役割です。企業内で専従として働くほか、外部機関やコンサルタントとして提携する柔軟な働き方が可能であり、自分のライフスタイルやキャリアビジョンに合わせて選択できます。需要が高まる中で、看護スキルを活かしつつ新しい知識を学び続けることで、やりがいと成長を実感できる働き方と言えるでしょう。
④その他、看護師経験を活かして個人で働く方法
看護師としてのスキルや経験は、病院、地域、産業以外にもさまざまな形で活かすことができます。個人で働くことで、自由度の高い働き方や収入アップの可能性が広がります。以下に、看護師経験を活かせる働き方の案をいくつか挙げます。
1. カウンセリングやコーチングの提供
概要
- メンタルヘルスケアやストレスマネジメントに特化したカウンセリングサービスを提供。
- 産業分野の企業向けコンサルティングも可能。
必要なスキル
- 認知行動療法(CBT)、産業カウンセラー資格、心理学の知識。
メリット
- リモート対応が可能で自由な働き方を実現。
- 需要が拡大しているメンタルヘルス分野での活躍。
デメリット
- 信頼を得るまでの時間が必要。
- 継続的な学習と資格取得が求められる。
2. 看護師向け教育やセミナーの開催
概要
- 看護学生や新人看護師向けに教育プログラムを提供。
- 特定分野(がん看護、救急看護など)の専門スキルを共有。
必要なスキル
- 教育スキル、専門看護分野での経験。
- プレゼンテーション能力。
メリット
- 自分の知識や経験を次世代に伝えるやりがい。
- オンラインセミナーで全国的な展開が可能。
デメリット
- 教材作成や集客に時間がかかる。
- 継続的に受講者を集める工夫が必要。
3. 執筆や情報発信活動
概要
- 医療や看護に関するブログ執筆、コラム提供、SNS発信。
- 医療記事の監修や執筆業務、書籍の出版。
必要なスキル
- 医療知識、文章力、マーケティングスキル。
メリット
- リモートで働ける。
- 発信力が高まれば副収入の確保やキャリアアップにつながる。
デメリット
- 読者やフォロワーを増やすための努力が必要。
- 収益化までに時間がかかる場合がある。
4. 健康・予防医療分野のビジネス
概要
- 健康相談や生活習慣病予防指導を個人や企業に提供。
- ウェルネスコーチとして活動。
必要なスキル
- 健康指導の知識、栄養学や運動指導の理解。
メリット
- 健康志向の高まりにより需要が増加。
- 個人・法人問わず幅広いクライアント層。
デメリット
- 知名度を上げるためのマーケティングが必要。
- 医療行為を超えない活動範囲の制限がある。
5. 看護師エージェントとしての活動
概要
- 看護師の転職支援やキャリアコンサルティングを提供。
- 看護師のマッチングビジネスを展開。
必要なスキル
- 人材業界の知識、交渉力。
メリット
- 看護師目線で転職支援ができるため信頼を得やすい。
- マッチング成功報酬で高収入を狙える。
デメリット
- 人材紹介業の登録や規制に対応する必要がある。
稼ぎたい人!一番収益性が高くなる働き方は?
- 起業(訪問看護ステーション運営)
初期投資が必要ですが、訪問件数を増やし、効率的な運営を行うことで大きな利益を得られます。成功すれば、従業員を雇いながらオーナーとして収益を得ることも可能。 - 企業向け健康コンサルタント
健康経営が注目されているため、産業看護師や健康管理サービスを提供するコンサルタント業務は高単価の契約を得やすい。 - フリーランス特定看護師
特定看護師として高度なスキルを提供することで、1件あたりの報酬が高くなるケースが多い。
縛られたくない!自由度が高い働き方は?
- フリーランスとして活動
- 例: 訪問看護師、短期契約の特定分野看護師。
- 理由: 自分で働く場所や時間を選べるため、ワークライフバランスを調整しやすい。
- カウンセリングやオンラインセミナー運営
- 例: メンタルヘルスケアや看護教育のオンライン講座。
- 理由: リモートで完結する仕事が多く、場所や時間の制約が少ない。
- 執筆・情報発信
- 例: 医療ブログ、SNS発信、書籍執筆。
- 理由: 自分のペースで発信しながら収益化が可能。
穏やかにいたい!心身の健康を維持できる働き方は?
- 定時勤務が可能な産業看護師
- 理由: シフト制や夜勤がなく、規則的な勤務形態で心身の健康を維持しやすい。
- リモートワーク中心の働き方
- 例: オンラインカウンセリング、セミナー講師。
- 理由: 自宅で仕事ができるため、通勤ストレスがなく、自分のペースで働ける。
- 地域看護(訪問看護)
- 理由: 自分のペースでスケジュールを組むことができ、患者と深く関われるため心理的満足度が高い。
さいごに
看護師の働き方には、医療施設、地域・在宅、産業分野、さらには個人事業主としてなど、様々な選択肢があります。それぞれに特徴があり、スキルやライフスタイルに応じた働き方を選んでみてください。
個人的にはお金のためや、○○のための自己犠牲が伴った働き方は心身の不調につながります。我慢が前提、条件面で選ぶだけではなく、自分が何に興味を持っているのか、やりたいと思っていることに挑戦してみてくださいね。これまで見てきたように看護師には多様なキャリアの可能性が広がっています。ぜひ視野を拡げて色々みてみてくださいね。