「また同じ話を聞いてる気がする…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
カウンセラーや保育士、看護師、教師、そして母親など、人の悩みに日常的に向き合っている立場の方ほど、
「愚痴ばかりで話が進まない」
「何度話を聞いても変わらない」
「もう何もできることがない気がする…」
と、無力感を覚えてしまうことや、同じ話ばかり聞かされてうんざりしてしまう。なんて思うこともあると思います。
特にお仕事として誰かの支援に関わっている方は、相手の変化がそのまま人生に影響するからこそ、何とかしてあげたいと思う気持ちも強くなりますよね。
でも、ここで大切な視点があります。
それは、「どこを深堀りするかで、解決の質が大きく変わる」ということ。
悩みの構造を知ると、解決が見えてくる


私たちは、出来事やトラブル(=事実・現象・問題)だけを見がちですが、
その手前には「解釈・考え方」と「感情」が必ずセットになっています。
この感情を味わいたくない(または無意識に避けたい)という動機から、
「行動」が選ばれ、その結果として現実の問題が浮かび上がってきます。
つまり、表に見えている「問題」は、あくまで一番表層にある“結果”に過ぎないのです。
なぜ、同じ問題を繰り返してしまうのか?
「パワハラが辛くて職場を辞めたのに、次の職場でもまた同じような目に…」
「家庭ではモラハラ、実家に戻っても親からのコントロールに苦しむ…」
こういった“繰り返しのパターン”には、本人の中にある「解釈・感情の癖」が関係していることがよくあります。
どの層の悩みにも「考え方・感情・現象」が混ざっており、整理しないと同じパターンにはまってしまいます。
いくら行動を変えても、環境を変えても、根っこにある「思考と感情」がそのままでは、また同じ状況に出会い、似たような苦しみを味わうのです。
「行動」の背景にある“避けたい未来”とは?

図にあるように、職場でのトラブルを避けたいがために、「みんなが仲良くなるように」と自分が努力する。
本当は疲れていても、みんなの愚痴を聞き続ける。という状況があるとします。
なぜそこまで頑張ってしまうのか?を個を考えると、その裏には、
- トラブルが起きたら怖い
- 取り返しのつかない状況になるかもしれない
- みんながバラバラになって修復ができなくなってしまう
- 助けあえる人がいなくなるかもしれない
といった、“避けたい未来”への恐れや不安があるのです。
だからこそ、相手の話をただ聞くだけでなく、
「なぜその行動をとったのか?」
「どんな感情を避けたかったのか?」
「その背景には、どんな思考パターンがあるのか?」
こういった視点で掘り下げていくことが、根本的な問題解決への近道になります。
問題の背景に気づけない理由とは?
ここまでお読みいただいた方は、「なるほど、問題の背景にある“価値観”を深掘りすることが大事なんだ」と感じてくださったかもしれません。
でも実際にはその価値観に気づくこと自体が、意外と難しいのです。
なぜなら、「当たり前すぎる価値観」が、問い直しの対象にすらならないからです。
例えば、こんな価値観、あなたの中にもありませんか?
- 雰囲気が悪くなるのは避けたい
- トラブルやケンカは起こしてはいけない
- 怒ってはいけない、感情的になってはいけない
- 大人だからこそ、身勝手な行動はしない
- みんなに公平でいなければならない
- 子どもは最優先
- 弱いものは守るべき、傷つけてはいけない
- 無駄な時間は過ごしたくない
- 損したくない
こういった思いは、まるで“常識”や“正しさ”のように見えるかもしれません。
でも実は、こうした「当たり前」にこそ、本当の悩みのタネや思い込みが潜んでいるのです。
当たり前を問い直すということは、
自分の内側にある「無意識のルール」と向き合うこと。
それは、少し勇気がいることですが、
その問い直しこそが、本当の意味での「自由な選択肢」を増やすカギになります。
「そもそも」を意識してみよう
問題の本質に近づくためのキーワードは、「そもそも」です。
「そもそも、なぜその状況が苦しいのか?」
「そもそも、なぜそうなってしまうことが嫌だと思うのか?」
「そもそも、なぜそう解釈したのか?」
「そもそも、どんな未来を怖れているのか?」
この“そもそも”の視点を持つだけで、相手の話の聴き方が大きく変わります。
表面的なアドバイスではなく、その人自身が本当に気づくべきポイントへ導くことができるようになります。
同じ問題を繰り返さないために

「何度も同じ話をしている気がする」
「行動を変えても、状況が変わらない」
そう感じるときこそ、その背景にある「解釈・感情・避けたい未来」に注目してみてください。
対人支援の現場では、技術や知識も大切ですが、どこを見ていくか。の視点の違いが、結果を大きく左右します。
目の前の人の力を信じて、「そもそも」に向き合っていきましょう。
あなたの関わり方ひとつで、誰かの人生が少しずつ変わっていくかもしれません。
頭では理解していても、中々切り分けて考えられないという方が圧倒的多数です。それは日々その意識を持てないことが多いから。
ですが、トレーニングをすることでできるようになります。リカバリーセラピスト養成講座では、ここういった問題の本質はなにか?ここを見つけるための練習を日々行っています。もっと今以上に問題解決能力を高めたい方はぜひ一緒に学んでいきましょう。