今回は、MAWARIという暗号資産のプロジェクトを例に、「報酬が発生する仕組み」と「所得が生まれるタイミング」について、他の投資手段と比較しながら解説していきます。
MAWARIは2025年12月時点では本格稼働前のプロジェクトです。この記事は仕組みの理解を目的としており、将来の収益を保証するものではありません。あくまで「どのような報酬設計になっているのか」を知るための教育的内容として読んでいただければと思います。
1. MAWARIとは?――DePINというインフラ提供型の仕組み
MAWARIは、DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network:分散型物理インフラネットワーク)と呼ばれる領域に位置づけられるプロジェクトです。
簡単に言えば、「ネットワークの運営を個人が担い、その貢献に応じて報酬を受け取る」 という仕組みです。
MAWARIの場合、3DコンテンツやXR(拡張現実)の配信を効率化するためのインフラを、世界中の参加者が提供します。その役割を担うのが「Guardian Node(ガーディアンノード)」と呼ばれる存在です。
Guardian Nodeは、ネットワークの監視・最適化・確保を行い、その貢献に対して報酬が設計されています。
Guardian Nodeの報酬は2つの柱で構成される(デュアル報酬)

公式情報によると、MAWARIのGuardian Nodeが受け取る報酬は、以下の2つです。
① ネットワーク活動(監視)報酬
純収益の最大20%が、アクティブなGuardian Nodeオペレーターへ分配される設計です。ネットワークの利用が増えれば、報酬の原資も増えます。
② 早期オペレーター向けインセンティブ
トークン総供給量の11%を、最初の3年間にわたり「アクティブかつ検証済み」のGuardian Nodeへ分配する設計です。
2. ビットコインのマイニングを例に、「報酬設計」とは何かを理解する
MAWARIの報酬の考え方を理解するために、まずは「ビットコインのマイニング(採掘)」を参考例として見てみましょう。

注意: MAWARIはビットコインのマイニングとは異なる仕組みです。ここでは「仕組みの考え方を理解するための参考例」として説明します。
ビットコインマイニングの流れ
- 取引が発生する
誰かがビットコインを送金すると、その取引データがネットワークに流れます。 - データを記録する作業(マイニング)
世界中のコンピュータが計算処理を行い、取引データを「ブロック」にまとめてブロックチェーンに記録します。約10分で1ブロックが完成します。 - 報酬を受け取る
ブロックの記録に成功したマイナー(採掘者)には、新規発行されたビットコインが報酬として支払われます。2024年4月の半減期以降、報酬は 3.125 BTC です。
この仕組みのポイントは、「役割に応じて報酬が設計されている」 ということです。マイニングに参加すれば、必ず報酬がもらえるわけではありませんが、貢献度に応じて報酬が分配される設計になっています。
マイニングプール(複数のマイナーが協力して報酬を分け合う仕組み)に参加すれば、報酬は小さくなりますが、より安定的に受け取ることができます。
3. MAWARIの報酬形態――投資信託・不動産との違い
MAWARIのようなDePINの報酬設計は、投資信託や不動産投資とは構造が異なります。
投資信託との違い

投資信託は、「市場価格が上がれば資産が増える」 という仕組みです。自分は何もせず、市場の成長を待つスタイルです。
一方、MAWARIは 「ネットワークに貢献すれば、価格変動とは別に報酬が発生する設計」 です。価格が横ばいでも、ネットワークが稼働していれば報酬が得られる可能性があります。
ただし、注意点として、報酬が発生するのはネットワークが実際に稼働し、Guardian Nodeがアクティブで検証済みであることが前提です。
不動産投資との比較

不動産投資も、「物件を持ち、家賃収入を得る」という点でMAWARIと似た構造を持っています。
イメージしてもらうとわかると思いますが、不動産は初期投資が大きく、流動性が低いのが特徴です。一方、MAWARIはライセンスの初期投資が低く、参入しやすい反面、譲渡制限があります。
4. MAWARIの5つの収益ポイント

MAWARIの報酬形態を整理すると、以下の5つの収益ポイントがあります。
① ネットワーク貢献報酬
Guardian Nodeがネットワークの監視・最適化を行うことで得られる報酬です。純収益の最大20%が分配される設計です。
所得区分としては、原則として雑所得となります。ただし、事業的規模・継続性・記帳などの条件を満たせば、事業所得になる可能性があります。
② 早期オペレーターインセンティブ
Guardian Nodeのオペレーターとして、ネットワークの初期段階から参加した貢献に対する報酬です。トークン総供給量の11%が、最初の3年間にわたり「アクティブかつ検証済み」のGuardian Nodeへ分配されます。
所得区分としては、原則として雑所得となります。実態次第で事業所得になる可能性があります。
③ ステーキング報酬
①や②で得たMAWARIトークンを、ステーキング(預け入れてロック)することで、追加報酬を得る仕組みです。市場に出回るトークンをロックすることで流通量が減り、トークン価値の上昇を目指します。預けたトークン量と期間に応じて、報酬トークンが増えていきます。これは複利的な運用と言えます。
所得区分としては、原則として雑所得となります。実態次第で事業所得になる可能性があります。
注意点として、ステーキング報酬で得たトークンも、受け取った時点の時価で所得が発生します。
④ ライセンス売却益
Guardian Nodeのライセンスそのものを売却した際に得られる利益です。ライセンスは購入後12ヶ月間譲渡不可です。
所得区分としては、原則として雑所得となります。保有状況や契約形態により課税の扱いが変わる可能性があります。
⑤ トークン売却益
MAWARIトークンを売却した際に得られる利益です。取得時の価格と売却時の価格の差額が課税対象になります。
所得区分としては、原則として雑所得(総合課税)となります。
重要な動きとして、現在、暗号資産の売却益について、株式や投資信託と同じように分離課税(20%)が導入される可能性が議論されています。現状では総合課税(最高税率55%)となっているため、将来的に税制が変わる可能性に注目が集まっています。
なお、暗号資産の売買そのものを事業として行っている取引業者の場合は事業所得になりますが、一般的な個人投資家には該当しません。
5. 所得が発生するタイミング

国税庁の見解によると、暗号資産を取得した時点で、取得時の時価が収入金額 として扱われます。
① ネットワーク稼働で得た報酬を受け取ったとき
Guardian Nodeとしてネットワークの監視・最適化を行い、報酬トークンを受け取った時点で、取得時の時価で所得が発生します。
② ステーキング運用で得た報酬を受け取ったとき
トークンを預けて(ステーキングして)追加報酬を得た場合も、受け取った時点の時価で所得が発生します。
例えば、ステーキングをしたことによってトークン枚数が増えた場合、100トークンを受け取り、取得時の時価が1トークン=100円とすると、10,000円の収入があったとみなされます。
①②の2つの時点で収入があるため、それぞれ所得扱いになります。
そしてその後、トークンを売却した際には、売却価格と取得価格の差額 が利益または損失として計上されます。
つまり、暗号資産の報酬は 「もらったとき」と「売ったとき」の2回、税務上の処理が必要 になる可能性があります。
事業所得になるかどうかは、どう判断される?
MAWARIの報酬が「雑所得」なのか「事業所得」なのかは、以下の要素を総合的に見て判断されます。

重要なのは、「申告者が決める」のではなく「実態で判断される」 という点です。税務署は、これらの要素を総合的に見て判断します。そのため、単年度での評価だけではなく、経年的に判断することもあります。
例えば、初年度は準備期間として収益が少なくても、継続的に活動し、帳簿をつけ、翌年以降に事業として成長していく実態があれば、事業所得として認められる可能性が高まります。
逆に、たまたま1年だけ収益が大きかったとしても、継続性や計画性がなければ、雑所得と判断されることもあります。
最終的な判断は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
6. MAWARIが成り立つための5つの条件
MAWARIのようなDePINプロジェクトが報酬設計として成立するには、以下の条件が必要です。
- 実体経済・実需を持つこと
単なる投機ではなく、実際に使われるサービス・インフラであること。 - 発行設計が健全であること
トークンの発行が無制限ではなく、持続可能な設計であること。 - インフレ率より利用価値が勝つ設計
トークンが増えても、それ以上にネットワークの価値が高まる設計であること。 - 中央集権でルール変更が容易でないこと
参加者が安心して貢献できるよう、ルールが突然変わらない設計であること。 - 報酬の正当な理由を説明できること
報酬が「何に対して支払われるのか」が明確であること。
7. リスクと注意点
MAWARIのような報酬設計には、以下のリスクがあります。
① プロジェクトが普及しない場合の報酬不発
ネットワークの利用が増えなければ、報酬の原資も増えません。MAWARIが提供する3DコンテンツやXR配信のインフラが、実際に企業や個人に使われるかどうかが鍵になります。
プロジェクトの進捗や利用状況を定期的に確認しましょう。公式の発表やコミュニティの動きをチェックし、ネットワークが実際に成長しているかを見極めることが大切です。
② トークン価格の変動リスク
トークン価格が下落すれば、報酬の価値も下がります。暗号資産市場は値動きが大きく、短期間で価格が大きく変動することがあります。
価格変動を前提に、余裕資金で参加することが基本です。「生活費を削ってまで投資しない」「失っても困らない金額で始める」というリスク管理を徹底しましょう。また、価格が下がった時に慌てて売らないよう、長期的な視点を持つことも重要です。
③ 税務処理の複雑さと確定申告の負担
暗号資産の所得計算は複雑で、確定申告が必要です。取得時と売却時の記録をしっかり管理する必要があります。特に、報酬を受け取った時点での時価を記録しておかないと、後から計算できなくなります。
以下の記録を必ずつけておきましょう。
- 報酬を受け取った日付
- 受け取ったトークンの数量
- 取得時点の時価(円換算)
- 売却した日付と価格
- 売却時の利益または損失
エクセルやスプレッドシートで管理するか、暗号資産の税務計算ツール(例:CryptoactやGtax)を活用すると便利です。確定申告の時期になって慌てないよう、日々の記録を習慣化することが大切です。
④ 規制リスク
国内外の法規制が変わる可能性があります。暗号資産に関する税制や規制は、まだ整備の途中段階です。将来的に分離課税が導入されたり、逆に規制が厳しくなる可能性もあります。
国税庁や金融庁の公式発表を定期的にチェックしましょう。また、暗号資産に詳しい税理士やFPに相談できる体制を整えておくことも重要です。「知らなかった」では済まされないこともあるため、情報をしっかり得て、各自で勉強していくことが大切です。
信頼できる情報源としては、国税庁の「暗号資産に関する税務上の取扱い」や、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の情報などがあります。SNSや掲示板の情報は鵜呑みにせず、公式情報を確認する習慣をつけましょう。
まとめ――MAWARIの報酬形態は「働く資産」
株式投資や投資信託は、企業の株式やファンドといった金融商品を保有し、価格変動や分配を受け取る投資です。
一方、MAWARIのようなDePINでは、金融商品を購入するというよりも、ネットワークインフラを支える役割に参加し、その貢献に応じた報酬を受け取る設計になっています。
価格の上昇を待つことが前提の投資信託とは異なり、「ネットワークへの関与そのもの」が価値を生む点が大きな違いです。「価格に賭ける投資」vs「仕組みに参加する投資」という点で別の考え方が必要になるのです。
これらの違いを知ったうえで、所得や資産の設計をしていけると良いでしょう。
参考情報・出典
- Mawari Network Docs – DIO Extended FAQ
https://docs.mawari.net/decentralized-infrastructure-offering-dio/dio-extended-faq - Mawari公式日本語記事「Guardian Nodesとは?」
https://www.jp.mawari.net/p/guardian-nodes-mawari-jp - Mawari公式日本語記事「DIO発表」
https://www.jp.mawari.net/p/mawari-dio-announcement-jp - 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_02.pdf - Investopedia「Bitcoin Halving」
https://www.investopedia.com/bitcoin-halving-4843769 - KPMG「DePIN ~分散型ネットワークがもたらすインフラと社会の変革」
https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2024/12/web3-blockchain-08.html