12月12日(金)は、リカバリーセラピスト養成講座の2回目を実施しました。
先月実施した1回目は、どうしても「はじめまして」の環境なので緊張していたり、「理解しよう」「ついていこう」という意識が強くなります。流れをつかむだけで精いっぱい。でも2回目になると、土台ができた状態なので、少し力が抜けて、これまでのセッションを振り返りながら、細かい部分に疑問を持ち込み始める人が増えてきます。
立場も段階も違うからこそ生まれた視点
今回参加していたのは、卒業生、再受講となる受講生、受講生のサポート役を持ち始めた受講生、そして2025年11月スタートの6期生の、合計10名。
講座に出た回数も、役割も、今いる段階も、全員違います。
でもその違いがあったからこそ、「同じ講義を聞いても、見えている景色が全く違う」そんな場が自然に生まれていました。
ある5期生の方は、こう書いてくれました。
「5期生の頃に受けた講座のベースがあって聴いているので、まだ違う視点からの気付きがあってとても勉強になりました。特に、精神科の勉強からの流れは、この土台があって、だからここに繋がるということがわかりやすく、飽きずに聴き続けられてとてもよかったです」
特に変化が大きかったのは、サポート役として参加しているメンバーの視点でした。
サポート側に回ると、説明するにも意図を言葉にすることや、相手の考え方や捉え方の傾向や理解度を感じ取りながら関わる必要が出てきます。
「今回は、新たな課題というよりこれまでの自分の課題を振り返るような時間になって、そこを通してまた新たに6期生さんのサポートをさせて頂く身としての視点が増えて、とても学びになりました」このようなお声もいただきました。
そして、卒業生からは「ペアになってワークをする時に、3期生や5期生などアドバイスできるメンバーがたくさんいて、リカバリーセラピストがどんどん増えていることを改めて感心し、嬉しく思いました」という声も。
教える立場になることで、なんとなく分かっていたことやあいまいにしていたことが「自分の言葉で説明できる理解」へと変わっていきます。そして、その変化が、より実践的な気づきへとつながっていきます。
このプロセス自体が、セラピストとしての土台を強くしてくれます。
直感から、再現性へ|講座内容の進化

もうひとつ、私自身の成長も感じられるようになりました。多種多様な役割・段階を持つ方がいること、そして受講生が増えるにつれて、個性の違いと熟練度が異なる視点も持てるようになりました。
以前は、セラピスト個人の直感、感覚、経験値に委ねていた部分が大きくありました。ですが、参加頻度や、その人が抱えている状況によっても、受け取れる情報量の違いがあること、ある程度の基礎が身についた後、それをどう生かしていくのか、いろんな視点で見ることができるようになったのです。
それも含めて、2年間という長期間のサポート期間にしていたのですが、そもそも言語理解の構造そのものが、脳の使い方で全く異なるということを、技術の再現性にどのように影響しているのか、この部分を本当に考えさせられました。
その結果、自分の頭の中で考えていることや直感的にできていることを一つ一つ丁寧に言語化したり、イラスト化したりしていきました。なぜその質問をするのか、そもそもその状況が起こる原因にはどんな思いがあるのか、この時間内でのゴールは何か、関わりを続けた先にどんな変化があるのか、そういった構造そのものの理解を重視する学びへとシフトしています。
アンケートでも、「抽象度の理解ができることで、複雑に感じる話であってもそもそもの根本原因を見つけられる、ということがとても学びになりました」「抽象度のところの講義がとても分かりやすかったです。実際のセッションのときに『そもそも』を意識しながら進めていこうと思いました」と、理論と実践を繋げて考えている様子が伝わってきました。
この「抽象度」「構造理解」ができるようになると、早い段階でセッションの”型”ができるようになります。その結果、3人セッション(スーパーバイザー)の場でも、アドバイスの質が上がる、セラピストそれぞれの課題に早期に気づける、そんな時間へと変化してきています。
今回扱ったテーマ
今回の講座では、
・精神医療の現状と私たちの役割
・
・クライエントとの関係性構築
・抽象度の理解
・ゴールの再設定
・呼吸誘導、瞑想
ブレークアウトルームに別れて、お悩みの段階で抽象度の理解を深めながら、状況を整理すること、悩んでいることからゴールが見えるようになるためのアプローチをすると、どう変化するのか。体験してもらいました。
「とてもわかりやすく、ゴール設定の運び方やイメージの持って行き方など、自から鱗が出っ放しでした」と表現してくれました。知識として知るのではなく、セッション中にどう使うかを意識して学ぶ時間になっていたのではないでしょうか。
苦しさを越えた、その先へ
学びの途中で、「自分と向き合うのが苦しい」「セッションをすることが、正直しんどい」そう感じた受講生も、実は少なくありません。自分の課題が浮き彫りになるほど、人の話を聴くことも、言葉を選ぶことも、一時的に重たく感じてしまう時期があります。
それでも彼女たちは、諦めずにセッションを重ねてきました。
中には、役割を担うようになったことや、新たな挑戦をすることで、課題に直面しながらも、「ここで逃げたくない」と踏ん張れた方もいます。
役割が生まれると、学び方が変わります。
受け身だった視点が、「どう関わるか」「どう支えるか」という視点へと広がり、自然と、もう一段高いところから全体を見られるようになります。
すると、周囲の人の言動の背景や意図が見えてきたり、一つの言葉を、複数の角度から捉えられるようになっていきます。良くも悪くも、人によってきっかけも与えられるんですよね。
苦しさは、停滞ではありません。
視点が切り替わる前触れであり、次のステージへ進むための通過点です。
養成講座が目指しているもの

実は、養成講座はスタートしたばかりの受講生に向けてという意識以上に、元々学んでいた人たちに、「さらに学びになるためには?」「 より再現性を高めて安定的にセッションを提供できるようになるためには? 」そんな視点で、組織体制を考えています。
守破離の考え方と通じて、基礎基本が、何よりも大事だと思っています。
・何のために質問をして進めていくのか?
・クライエントにとってのこの時間内でのゴールは何か? 関わりを続けていくうえでのゴールは何か?
・悩みやトラブルの構造的理解
ここさえできれば、どんなことを学んでも自分の力で、足で立つことができるようになります。そして、自分自身の人生を創造することができ、循環に繋がっていくのです。
ですが、知識や技術だけで学べるところではないのです。
「守」の大事な要素としては、基本の方を繰り返しながらも、自分自身の内側としっかり向き合うという部分にあります。そこがなければ、本質的なことや、より研ぎ澄まされた感覚は磨かれません。
私たちは日頃からたくさんの人々の思想から影響を受けて、自身の認知も偏りが生じてしまいます。ここがあると、「俯瞰して捉える」ということができなくなり、問題解決能力そのものの低下につながります。
だからこそ「自分」という軸、芯となる土台を整える。それが回復力になり、他者を支える力にもなっていく。そして、家族や仕事、社会全体、次の育成へと循環が広がっていきます。
リカバリーセラピーの学びは心理学だけではなく、人生をより豊かに生きるための基本になる部分なのではないかなと思います。
さいごに
2回目、3回目の講座は、新しく何かを学ぶわけではないので、大きなインパクトはありません。でも、それまでの過程で経験したことに、上乗せされる学びになるため、「知識」から「血肉」へ変わり始める、とても大切な時間になります。
学びは一方通行ではなく、循環するもの。教える側も学び、学ぶ側も教える。それぞれの段階で見える景色が違うからこそ、同じ空間にいるだけで、全員が新しい気づきを得られる。
これからも、一気にではなく、でも確実に。土台を整えながら、一緒に育っていけたらと思っています。





