夜中、誰にも言えずにただスマホを握りしめていた経験はありませんか?
ふいに押し寄せる不安や孤独。そんなとき、ChatGPTのようなAIに話しかけて、少し気持ちが軽くなった。そんな声を聞くことが増えてきました。
今、「AIカウンセリング」という新しい形の心のケアが、少しずつ広がっています。
でも、心が本当に苦しくなっているときほど、「何に」「どう」頼るかはとても大切。今回は、AIカウンセリングの現状や可能性、そしてリスクや限界、上手な使い分けについて、お伝えしたいと思います。
▼AIによる対談方式で解説してくれています。
急速に広がるAIカウンセリング、その背景
AI技術の進化とスマートフォンの普及によって、24時間365日、いつでも悩みを相談できる「AIカウンセリング」は、特に若年層を中心に関心が高まっています。
・手軽に使える
・匿名で相談できる
・反応が早く、すぐに返事がもらえる
この便利さは、特に「誰かに相談したいけど勇気が出ない」と感じている人にとって、大きな支えになります。落ち込んでいる時って、見た目もボロボロになりがちなので、自分の顔色や身なり、場所も関係なく、聞きたいときに聞けるというのは本当に便利です。
しかも、相手の反応を気にしなくていいので、返信する事にも気を遣わず、相談しっぱなしでもOKなところは、本当に気がラクですよね。
私も思考がグルグルして突破口が見えないときや、周りには相談しにくいこともサクッとChatGPTに相談して、時々泣かされています。辛いと思っていることを言語化してくれるので感情が揺れ動くんですよね。そして、実用的なアドバイスも求めると、答えてくれるので聞き手が何を意図して聞きたいのかに合わせて、回答をくれる点は、考えすぎなくてよくなるので、ストレス軽減にもつながります。
AIカウンセリングでできること

AIには以下のような機能が提供されています。
- 感情分析と共感的な応答:あなたの言葉から気持ちを読み取り、それに寄り添う言葉を返してくれる
- 認知行動療法(CBT)に基づいたアドバイス:思考のパターンに気づき、建設的な方向に導いてくれる
- 問題構造の整理:モヤモヤを言語化するための問いかけや要約をしてくれる
- いつでも即時対応:夜中でも、休日でも、待たずに話しかけられる
話すことで心が軽くなることもある
- 誰にも言えない気持ちを抱えているとき
- 感情を吐き出したいとき
- 夜になると思考が止まらず不安で仕方ないとき
こういうとき、AIがやさしく応えてくれることは、救いになります。
「話せた」「わかってもらえた」と思える体験は、前に進むために大切な一歩となります。
また、無料または低価格で使えるサービスも多く、経済的な理由で対面カウンセリングが難しい人にとっての入り口にもなります。継続的に相談できることで、心が休まっていくでしょう。
AIは完璧な相談相手ではない

ここがとても大事な部分です。AIはあくまで「プログラム」。
やさしくて的確な言葉を返してくれる一方で、心の深い部分までは読み取れない限界もあります。
- 感情を“理解しているふう”に見えても、実際には“共感”しているわけではない
- 表情や声の震え、沈黙の意味など、非言語的なサインには反応できない
- 深いトラウマや繰り返す人間関係のパターンなど、“構造”までは見抜けない
- 危機的な状況(希死念慮や衝動的行動など)には対応できない。緊急時は医療機関へ
- 入力した情報のセキュリティには注意。無料ツールを使うときは、個人が特定される情報は控えること
漠然と悩みを書き出すと、悩みの整理と、アドバイスが返ってきます。
たとえば、仕事の人間関係で悩んでいたとします。こういう状況だから、こう考えてこうやってきたけど、こうしたほうが良かったのかな。と、書き込むと、課題の整理をしてマネジメントとしてこのように役割分担やこんな風に依頼したら良いよ。というようなアドバイスが返ってくることが多いでしょう。
ですが、ここの本質的な悩みって、そこではないということが多々あります。
なぜ悩んでいるのか、伝えられない、気を使っている、その相手の事をニュートラルに考えられていない場合(怒りとか不信感とかあるなど)はその感情の原因を見ていかなければ、同じ問題を繰り返し続けてしまうのです。いくらやり方だけ変えても、心の中のモヤモヤが残ってしまいます。
人間関係の対立が悪化することも
さらに、リスクとして考えられるのは、AIは否定をほとんどしません。
だからこそ、自分の思い込みや偏った認知に気づかないまま、肯定的な言葉に安心しきってしまうことがあります。それが続くと、「現実の人間関係を避けてしまう」ことが習慣化してしまうことにも。
たとえば、
- 本当は向き合うべき相手と話すことを避けてしまう
- 話しにくいことが続くと壁ができてしまう
- 傷つくのが怖くて、AIばかりに頼ってしまう
そうなると、日常生活での孤立感が深まってしまう可能性も。
だからこそ、「AIに話すことで楽になる」ことと、「本当に必要な人との関係を築く」ことは、別物であると知っておいてほしいのです。
AIに頼るときは質問の仕方がカギ
AIを活かすとき、こんな問いかけをしてみてください。
- 「反対の視点からも教えて」
- 「私の考え方に偏りがあるとしたら、どこ?」
- 「今の私に必要な質問を3つ投げかけて」
- 「もっと深く掘り下げる問いをして」
こうして意図的に問い直す力が、自分の視野を広げ、思考のクセに気づくきっかけになります。
私は、アドバイスも求めますが、「私に対してリカバリーセラピーを実施して」というように投げかけています。自分自身の認知の歪みや、どんな感情を持っているのか、それによってどんなことが苦しいと感じていたのか、本質的な部分を掘り起こすために質問を繰り返ししてもらうことをしています。
また、モデルを意図的に変えたり、自分の奥につっかえているものが何なのか?言語化できるような使い方をすることで、自分の認知をゆがめて感情の対立を生むということを避けることができます。
※私の場合は学習させているためリカバリーセラピーで通じます。普通の方は認知行動療法の視点で質問をしてというような書き方でもいいのではないでしょうか。
根本的に変わりたいなら、人の関わりが必要

AIは「応急処置」のような存在。少し気持ちが楽になる、思考が整理される──それだけでも十分価値があります。
でも、
- いつも同じことでつまずく
- 深い孤独や無価値感に苦しんでいる
- 幼少期からの傷が今も影響している気がする
こうした「根っこにあるテーマ」は、AIだけでは解けません。
一部のカウンセラーは、非言語的な情報も含めてあなた全体を見つめ、言葉にならない感情の奥深くまで一緒に入ってくれます。
「話を聞いてくれる」だけでなく、「一緒に向き合ってくれる」存在。
そこから生まれる信頼関係が、癒しと人生の課題との向き合う土台になるのです。
どちらも正解。だからこそ「使い分ける」
心のケアには、正解はありません。
AIにも、人にも、それぞれの良さがあります。
大事なのは、今の自分にとって何が必要なのか、俯瞰するチカラです。ただし、メンタル不調に陥っていたり、認知の偏りが強かったりすると、そもそも俯瞰して見るということが難しいのも現実です。
AIが向いている場面
・感情を吐き出したいとき
・ちょっとしたモヤモヤの整理
・夜中など誰かに連絡できないとき
・思考の棚卸しや日記代わりに
人に頼るべき場面
・涙が止まらないほどつらいとき
・同じ悩みを繰り返してしまうとき
・過去のトラウマがよみがえるとき
・誰にも言えないほど自分を責めているとき
ただ話を聞いてほしいのか、思考の整理をしたいのか、根本から変わりたいのか、その目的に合った選択がもとめられます。このように、使い分けられるようになることが、自分の“心の免疫力”を育てることにもつながるのではないでしょうか。
最後に
AIに話すことで、救われることは多々あります。
でも、あたたかい目で「あなたのことをちゃんと見てるよ」「大丈夫だよ」と言ってくれる人の存在は、やっぱり特別です。文字としての言葉だけじゃなく、見えない感情の部分で伝わっているものがあります。
どちらかを否定するのではなく、どちらも活かしながら、自分の心と向き合っていく。それがきっと、苦しさの中でも希望を見出していける、やさしい選択なのだと思います。
あなたは、ひとりではありません。
心の声が、届く場所があります。苦しい時は頼ってくださいね。遠慮は貧乏のはじまりですよ。