認知行動療法(CBT)効果ないと思われる理由は?

認知行動療法は、うつ・不安神経症、パニック、依存症、PTSD、モラハラ・パワハラ、いじめ、DV、発達障害、不登校、アトピー性皮膚炎、など多岐にわたって効果が確認されている精神療法ですが、このアプローチに対してのイメージも大きく分かれるようです。

例えば、「責められるような感じが苦手。」「質問に答えにくい。」「全然効果を感じない」といった意見もあります。はたまた1回のセッションだけでも、パニック障害やPTSDが解消され、お薬も手放せたというような方もたくさん見てきました。

そして、病気やメンタル不調を感じている人だけに使うものではなく、一般の方でもちょっと行動が苦しい、思うように動けない、頭ではわかっているのに…といったお悩みにも効果的で、問題が解消されたことにより生活の質が上がったり、人間関係の幅が広がった、収入が上がった、仕事が順調になったなどといった方も非常に多くいらっしゃいます。

この記事では、より効果的に使えるよう、認知行動療法について効果がないと感じているケースや、責められているようでやりたくないといった意見を深堀してみようと思います。

そもそも認知行動療法ってどんなもの?

認知行動療法は、私たちの考え方や行動が感情にどのように影響するかを理解し、問題を解決する手助けをする心理療法です。このアプローチ方法は、「固定観念や考え方を変えることで、感じ方や行動も変わる」という考えに基づいています。

例えば、学校でテストが悪かったとします。その時に「自分はダメな人間だ」と思うと、悲しくなったり、もう勉強したくなくなったりするかもしれません。しかし、認知行動療法ではそのようなネガティブな「自動思考」に気づき、それを「ここがうまくできなかったけど、こうやって取り組めたこと、出来るようになったこともある」というようにポジティブな考え方に変えることができます。そうするとその先、勉強にもっと積極的に取り組めるようになったり、勉強の仕方の攻略ができるようになるなど、楽しく継続ができるようになっていくのです。これが出来たらどうでしょうか?

結果は継続した先に出てくるものなので、結果そのものが変わっていきます。

この治療法は、セラピスト(治療を行う専門家)と一緒に、自分の考え方や行動パターンを見つけ出し、それを少しずつ改善していきます。このプロセスを通じて、問題をより上手に扱えるようになることを目指します。

捉え方が変わる事で、一つ一つの選択肢がいつもと変わり、行動自体が変わります。
この流れを意識できると自分自身の力で心の問題に立ち向かうことができるようになるのです。

うつ・不安神経症、パニック、依存症、モラハラ・パワハラ、いじめ、DVなど

メンタル不調や、人間関係の問題は、ついつい周りの人や相手に問題があるとされますが、相手の問題そのものが悪いわけではなく、その人たちの言動に左右される自分自身がいるということが不調や苦しさの原因になっています。

そのため、自分がそう感じている理由に、フォーカスを向けることが出来れば、人の言動に左右されにくくなり、自分自身の意見を持てるようになったり、言いたいことが言えるようになっていきます。

今、日本全体の課題として深刻なのが2極論、分断的思考です。
自分の正しさをつい、相手に求めてしまったり、期待してしまうということありませんか?
自分自身は無意識でかなり多くの事を求めていたりするんですよね。

そして、周りの人が求める正解探しで常に気を使ってしまう、周りの反応・表情が気になって先回りして色々と考えてしまうということも、善か悪か、正しいか間違っているか、の2極論に偏っているからです。

物事は白か黒か、だけではなく、グレーも存在しており(しかもグラデーション)、白と黒も常に両方存在しています。被害者意識を持っている方も実は加害的になっている面も存在しますし、加害者にも被害者意識が存在しています。双方の話を聞くと互いに同じことを言っていたり、どっちもどっちということが多いですが、客観的になれないため話が平行線ですすまないか、一方が自己犠牲で諦めるといったことが多いのではないでしょうか。

モラハラやパワハラを受けやすい人というのはやっぱり似たような特徴があります。また似たような相手に対して似たような行動をとっているわけなので、どうしても場所が変わっても同じような場面を繰り返してしまいます。だからこそ、一旦苦しい感情を解消して、自分や他者との関係に向き合っていくことがとても大切なことなんです。

認知行動療法が効果ないと感じる人、効果が出にくい人

認知行動療法も効果の感じ方には個人差が大きいように思います。1回目から重たい悩みが解消できることもありますが、悩みが一つ一つ重たくて、心が軽くなった感覚を受けるまで何回かセッションが必要なこともあります。ただ、その前に効果がないと思って中断してしまったり、もったいないからと言って次のセッションを先延ばしにしてしまうと「効果がない」といった感覚で終わったままになるのも事実。

効果を感じにくい、時間がかかる人にも共通した状況があります。

1.ネガティブ感情自体を強く否定している(ポジティブシンキングすぎる)
2.他者やあらゆる物事に対して強い否定感・不信感がある
3.自分の中の「できている部分」を見ようとしない
4.自己解釈が強く人の話を聞けない
5.他力本願になっている
6.重度の病気、エネルギー不足

このような状況の方は、1~2回受けただけでは、変化に気が付かないケースが多いです。特に1~5は強い認知の歪みによってそのような状態、性格になっているため、2~3か月セッションを継続することで強い考え方の偏りは修正していくことができます。

頑固だと思う人ほど、実は認知行動療法が適しているのです。ですが、自分の心に強く蓋をしている状態なので、2~3回のセッションでは蓋が外れないために、効果がないと感じる人も多いのが現実です。

それでも、セラピスト側から見ると原因との向き合い方や発する言葉が変わっていたり、行動を起こせているなど、変化もあり、実は効果が出ていることが多いのです。認知がゆがんでいる状態だとそれすらも見えなくなっているので、少しずつ苦しさを和らげてあげることがとても大切です。

絡まっている糸を無理に引っ張ってもほどけないばかりか、絡まりは強くなってしまいます。

一つ一つ緩めていく根気のいる作業ですよね。切って新しい糸にするという方法はかんたんですが、人間の心は新しく入れ替えることはできません。絡まりをほぐすには向き合っていくことが一番確実な方法なのです。

心は玉ねぎ状になっている

認知行動療法は1回のセッションで人生のすべての問題を解決できるような魔法ではありません。また、誰かが変えてくれるわけではなく、自分自身の内側と向き合い、自分で行動を変えていかなければ何も人生は変わりません。

ただ、今まで長く感情に蓋をして生きてきているからこそ、表面の層は硬い蓋になっていることが多いです。自動思考といって、瞬間的に出てくる思考に頭の中を占領されているような状態です。ここはただただ自分が苦しいという人も多いので、まずはいったん自分の感情を知る。ということが必要です。

そして、その固い層が外れてくると、やっと他者と向き合うことができるようになってきます。怒りや憎しみ念が強い人は4~6回目くらいに他人の事と自分の事を切り離して考える余裕が出てくる感じでしょうか。ノンストップ自動思考でマシンガントークになりがちな方も、自分の心や感情と向き合えるようになり、他者との向き合い方が変わりはじめます。

さらに進めていくと、変わりたいのに変わりたくないといって拗らせている層が出てきます。何らかの強い信念があったり、心の底では問題解決することのデメリットを強く感じ、手放したくないといった矛盾した状態になってることがあります。

これは人生を大きく変えるチャンスでもあるので、向き合いきることが何より大切です。
苦しみが大きい分だけ、大きく上がっていけるので、一緒に向き合っていける人をぜひ見つけてみてくださいね。

責められていると感じるのは

カウンセラーの方は特に認知行動療法は言葉の裏にある信念や感情を言語化してもらいたいため、質問攻めになってしまいます。だからこそ、セラピスト側がどのような態度や言葉がけで質問するかは、とっても重要なわけです。

私たちのセッションも、「なぜそう思いますか?」「その時はどんな感情ですか?」といった質問をシンプルに繰り返していきます。そのため、それが不快にならないような配慮をしていきます。

はじめは答えにくいと思っていても、質問を繰り返すことによって、強い信念が見えてきたり、自分自身を客観的に見ることができるようになり、セッションの後は気づきが多いと体感される方も多いです。

私たちが配慮している点は
①強い口調で一方的に質問するのではなく、なんでそう思っちゃうんだろう・・・と一緒に考えるように寄り添っていく
②セラピスト側も、こんな感情ですか?などといって、アシストしていく
③自動思考と本質の言葉の違いを確認しながら進めて、無駄な質問をしないようにしていく
④いったん話を受け止めたうえで、質問をしていく

慣れてくると、心地よいと思ってくださる方や、安心感があるといっってくださる方も多いです。

そして大事なのは私たちセラピストも、定期的に自分の問題と向き合ったり、セッションをしてもらったりして、苦しい感情を溜め込まないようにしているということ。

実はカウンセラー業界の課題の一つなのですが、カウンセラー自身が自分の問題を抱えていて、セッションにその影響が出ていたり、クライアントの感情に共鳴したり、共感しすぎているといったことがあります。

人は怒りの感情に対して、怒りの感情をぶつけやすいといった性質を持っているので、責められているように感じた場合は、もしかしたら怒りの感情のやり取りをしている可能性が高いかもしれませんね。

もしセラピスト選びに迷った場合は、セラピストさんが自分の問題とどう向き合っているのか、聞いてみるのも一つのポイントかもしれません。自己内観だけで向き合っている方は、ご自身の深い問題と向き合えていない可能性があります。セラピストさんも定期的に何らかのセッションを受けている方だと安心感が得られやすいでしょう。

さいごに

どれだけ問題解決をしていっても、すべての問題が常にいい状態であるというのはとっても難しいです。ネガティブな状況を起こさないのではなく、その時どう向き合えるのか?向き合い方や一緒に向き合える仲間を見つけていくことが大切です。

これからは心の向き合い方、人との向き合い方をより大切にしていく時代だからこそ、「避ける」の次に、「向き合うチカラ」も育てていけるといいですね。

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