看護師は常に緊張状態にあり、職場の労働環境も中々整わないため心も体も疲弊している方が多いですよね。最近ではいろんな分野で起業し、活躍されている看護師も増えてきたため自分でも何かやりたいな…と思うこともあるのではないでしょうか。
私も同じく看護の現場が苦しく、心が病んで無気力・無関心などの症状からネグレクト状態に陥ってしまったことがあります。そのため、離婚をきっかけに働き方についてはとても深く考えるようになりました。そして離婚、出産を経て、1年かけてじっくり起業準備をし、段階的に働き方を変えてきました。
正社員 → パート → パート+個人事業 → 個人事業+法人事業 と段階的に変えてきたのには資金繰りの理由がありました。そして中長期的に考えてきているので、一つ一つステップを踏むことができています。周りを見ていると起業しても諦めてしまい、病院で働く方に戻ってしまう方も非常に多かったので失敗原因と乗り越え方をお伝えしていきたいと思います。
起業に失敗しやすい3つの原因
経営知識の不足
看護師は医療知識や看護経験をもっており、その経験を生かして副業や起業をしたいと思う方も増えています。
しかし、経営に関する知識が不足したまま起業する方も多く、ビジネスをしていくうえでの問題やリスクを把握できていないと、失敗する可能性も高くなってしまいます。
経営全般でいうと中長期的な展開目標、税金や健康保険・年金制度などの知識、自分で確定申告をする際の経理的なもの、誰にどのように売っていくのかのマーケティング戦略、ライティングスキル、ITツールの活用や資金繰りなど、多岐にわたる知識が必要です。
顧客や市場のリサーチ不足
看護師が起業する場合、看護師としての専門知識を生かしたサービスを提供することが多いです。しかし、そのサービスがどの程度需要があるか、顧客層がどのような人たちであるか、競合他社が存在するか、どんなサービス展開をしており、市場規模はどれくらいなのかなど、市場調査を行わずに起業し、、顧客を獲得できずに経営が苦しくなることがあります。
同じサービス内容でも、顧客が変われば売り方が変わります。サービスの価格帯も変わってくるため経営状況に大きな差が生まれてしまうのです。経営戦略にも大きくかかわってくるため、リサーチは重要です。
資金の不足
起業するためには、足りない知識の勉強や広告宣伝費、交際費など多くの場合、投資が必要となります。また、ビジネスが軌道に乗るまでにも時間がかかるため、収益が安定するまでの生活費の確保などもしっかり考え、計画性をもっていくことがとても大切です。
例えば、いきなり起業した場合、収入が減ってしまう中、前年度の収入があったために住民税や健康保険・年金保険料の負担も大きく感じます。始めて見たはいいものの売り上げが立たず、固定費の負担が思った以上に苦しく、結局は看護師に戻るなんてこともよくあります。
起業ではマインド面での影響が大きい
起業当初は重要視されにくいのですが、マインドや潜在意識の影響がとても大きく、いくら準備をしても行動ができない、うまくいかないというパターンも多くあります。
自信が持てずネガティブな思考
成功するためにはポジティブなマインドセットが必要ですが、時間がかかってしまったりうまくいかない人の多くは「でも…」「どうせ…」などと自分には難しいと感じやすく、ネガティブな思考になりがちです。過去の成功体験がない分野での挑戦になると特に、自分に自信を持つことができず、不安が強ままります。
リスクを回避でチャンスを逃す
安全性重視で考えているとチャンスを逃してしまうことが多くあります。
例えば実際にやってきた方にやり方を学んだり、一緒にやった方が圧倒的に早く結果を残せますが、資金面でそれが出来ず自分一人で一から本や動画などを見てやるとします。
調べることに時間もかかりますし作業にも時間がかかり、結果的に全然進まず収入につながるまで時間がかかってしまったらどうでしょうか。
その間に資金繰りがうまくいかず、結局諦めてしまうということにつながりますね。ビジネスを継続させる上では投資的な考え方が必須となります。
短期的な目標のみにフォーカスしている
ビジネスを成功させるためには、中長期的な目標も設定することが重要です。しかし、失敗する人に共通しているのは、短期的な目標にしかフォーカスしていないということです。
例えば、「1か月100万円の収入を目標に!」や、「1年目で1000万円目標に!」などと安易な金額設定をする人、させるコンサルタントも多くいます。これが継続できるかどうか、家庭事情や本人の使命なども影響します。特に看護師は「誰かのために」といったホスピタリティ精神や使命感を強く持っている方が多いため、その使命感にそぐわないやり方ですと、モチベーションが継続しません。
よって行動が出来なくなってしまうため、その使命感が達成されるような中長期な目標設定や、そもそも継続可能な事業計画も必要です。
成功への執着心
ビジネスを成功させるために成功への強い執着心は、大きなエネルギーを生み出すことができますが、逆に成功という結果に執着があると、結果を果たせないことで自己肯定感が下がり、挑戦が出来なくなってしまいます。
カウンセリングで特にご相談が多いのが、この結果に執着してプレッシャーが強くなっているというケースです。過度なプレッシャーは行動抑制につながってしまい、頭でわかっていても他者と比較して苦しくなってしまいます。
継続できるビジネスをつくることが大切
看護師が起業したいと思った時は、やり方を勉強すると共にマインドを整えていくことがとても大切です。まずはビジネスプラン(事業計画)を5年くらいの期間で立ててみましょう。一つ一つ棚卸をすることで、より具体的な方向性が見えてきます。
無理やりでも計画を立てることで、どんな事業になっていくのかイメージを明確にしていくことができ、より実現に近づけることができます。
ビジネスプランを考えてみよう
- エグゼクティブ・サマリー
- ビジネスの概要
- 目的と目標
- 重要な成功要因
- 市場やお客様の状況
- 業界・市場の概要、市場が抱える課題、市場規模
- ターゲット顧客の理解
- 競合分析(競合の強みや弱み、競合との違い・優れている点)
- 製品・サービス
- 製品・サービスの内容
- 特徴・利点
- 価格設定
- マーケティング
- ターゲット顧客に向けたマーケティング戦略
- 販売促進戦略
- 組織・人員(必要なら)
- 組織の構成
- 経営陣・スタッフの役割と責任
- 人事計画
- 資金計画
- 資金調達の計画
- 予算と財務計画
- 利益と損失計算書、貸借対照表
- リスク分析
- 事業を開始する際に直面する可能性のあるリスク
- そのリスクに対する対策
起業前から資金調達
最低限、生活費がいくらあれば生活が可能なのか、その収入をどのように確保していくのか、売り上げ目安も考え、家計を見直しておきましょう。
自己資金だけではなく、公庫の創業融資や銀行・投資家などからの資金調達、補助金や助成金も検討してみましょう。
自分のお金が無くなっていく恐怖心があると行動も制限されてしまうため、余裕を持てる環境を整えることも大切です。また、自己資金がなくなってから融資を受けようと思っても借りることができないか、借りれても金額は小さくなってしまいます。使わなくてもいいので、自己資金があるうちに借りておくことが得策です。
思考の癖を上書きしていく
メンタル面でのアプローチは非常に有効です。
成功体験がないうちは成功している姿や未来の自分をイメージすることができません。それは今の生活を基準に未来を予測しているからです。
私たちはたくさんの思い込み、思考の制限のなかで物事を判断、選択し行動しています。壁にぶつかったときにはそういった思い込みに気が付き、一つ一つ解消していくことが大切です。
「なんでそう考えるのか」「なぜそう感じるのか」と自己内省を繰り返えしていくと潜在的に抱えている課題が見えてくるので、自分と向き合う時間を作っていきましょう。
よくアファメーションや自己啓発が有効だと言われていますが、イメージをしても「でも…」「どうせ…」が出てきてしまう場合は、そのネガティブな方が潜在意識に強く残ってしまうため、ネガティブな状況を引き寄せてアファメーションが逆効果になってしまうことがあります。
そのあたりは自分自身で見極めていきましょう。うまくいかないときは自己内省したり、潜在意識のカウンセリングや書き換えができる人にお願いしてみてください。
さいごに
今の生活を変えたい!もっと自分の経験を役に立たせたい!病院では解決できない問題に寄り添っていきたい!と強い思いをお持ちのかたこそ、やり方を間違ってしまうと心が折れてしまいます。
その思いを形にするためには準備や仲間が必要です。ぜひ継続できる仕組みを作っていってくださいね。