こんな状態で踏ん張っていませんか?
「正社員で働かないと生活できない」と思い込んで、残業も断れず、帰宅はいつもギリギリ。
子どもとの時間が削られていくのに、通帳残高は増えない。
むしろ疲労だけが蓄積して、「私、何のために働いてるんだろう…」と心が折れそうになる。
私も、次男を妊娠中に離婚して、まさにこの感覚の中にいました。勤務先・住居・お金・育児…全部が不確かで、正解探しに必死でした。
でも、ここで一つ視点が変わると、選択肢が増えます。ポイントは「年収」ではなく「所得」を見ること。年収が高くても、引かれるものが増えれば手取りは伸びません。
逆に年収が少し下がっても、所得を設計できると、手当や減免の対象になって”使えるお金”が増えることがあるんです。
正社員は安定。でも”安定の中身”は人によって違う
正社員のメリットは分かりやすいです。
社会保険、福利厚生、毎月の給与、信用(ローン等)。傷病手当金が出るなど、制度面も強い。
ただ、シングルマザーにとっての現実は「子どもの体調不良=欠勤」「行事=調整」「残業=家庭の崩壊リスク」もセットになりがちです。
正社員でも収入が読めない現実

私自身、次男出産後に正社員として働いた時、兄弟で感染症をうつし合って2週間以上欠勤したことがありました。
有休もなくなり全て欠勤扱いで、手取りが10万円を切った月がありました。
正社員でも、子どもが小さい時期は”収入が読めない”ことが普通に起きます。
手取りを決めるのは「年収」ではなく「所得」と「制度の当たり方」

制度は多くの場合「所得」を基準に動きます。
つまり、年収を追うほど、税・社会保険料・保育料・手当の減額が重なり、結果として”頑張りの割に手元に残らないゾーン”があります。
私の場合は、離婚前にフルタイムで夜勤もこなして看護師として働いていたため、離婚後は一切支援の対象外に。そして税金や保育料なども高く支援は受けられないけど支出が多いという状況を体験しています。ですが、働き方を変えて非課税世帯になったことにより税金と社会保険料の支出は減り、受けられる支援が増え、雇われで働く時間を選ら下にもかかわらず、手取りを変えず生活ができました。
「所得」って何?(給与のみの場合)

【計算の流れ】
年収 → 給与所得控除(2025年改正後:最低65万円)を引く → 給与所得 → さらに基礎控除(2025年改正後:最大95万円※所得金額により変動)などを引く → 課税所得
※出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
ここで気を付けたいのは、制度によって見ている”所得”の定義や控除の扱いが違う点です。ですがざっくり、年収そのまま」ではなく「控除後の所得」で判定される、と押さえておくとよいでしょう。
児童扶養手当も”所得のゾーン”で受給額が変わる
児童扶養手当は「全部支給」と「一部支給」でゾーンが分かれます。表のように扶養親族の人数で所得制限額が変わります。(収入の目安は給与のみの場合)
【所得制限の目安(2024年11月改正後)】

※出典:こども家庭庁「児童扶養手当について」
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate
さらに同居親族(扶養義務者)の所得でも判定が入るので、「実家に戻る」「親と同居する」場合はここで不利になることがあります。逆に言えば、扶養の状況を含めて考えられるとお得になるケースも。
社会保険は”年収”より「条件の組み合わせ」で決まる
以下のすべての要件を満たす場合に社会保険加入義務が発生します。
【社会保険加入の要件(2025年時点)】
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生でないこと
- 従業員数が51人以上の企業に勤務
※出典:厚生労働省「『年収の壁』への対応」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
※「月額賃金8.8万円以上」の要件は撤廃される方向で検討中。
「年収が106万円だから自動加入」ではなく、「勤務時間・月額賃金・勤務先規模・雇用見込み」などで決まります。従業員が少ない会社であれば、社保の加入に関しては選択の余地があるということです。
社会保険に加入したほうがいいか、国民健康保険のままがいいか、こちらもシミュレーションしてみてください。国保も年金も所得額によって減免制度があるため、役所に確認してみると良いでしょう。
手取り最大化は「給与所得×事業所得×控除×制度」の設計で起きる

ここから、具体的な方法を整理します。
※正社員を否定する話ではありません。今のフェーズで「最適化」「最善」を一緒に考えたいと思います。
1. 給与所得と事業所得を”混ぜる”と、所得の調整がしやすくなる
☑給与所得は控除がある一方で、経費で調整しにくい。
☑事業所得は経費(+青色申告特別控除など)で所得をコントロールしやすい。
【イメージ試算】
- パート年収200万円→給与所得132万円
- 副業売上100万円(経費35万円、青色申告特別控除65万円) → 副業所得0万円
- 合計所得は132万円
※年収300万円の場合は、合計所得は202万円となります。
子どもが二人の場合は、児童扶養手当は満額受給となる。
さらに、自宅での副業の場合は、家賃や電気代、PCまわりなど仕事をするためにかかる費用は家事按分として一部を経費計上することが可能なので、固定費を経費化し、所得額を抑えることも可能です。
こういう「組み立て」ができると、働き方の選択肢が拡がっていきます。
2. 離婚前に知っておきたい:「扶養の付け方」で手当・税が変わることがある
これは、離婚を考えている方に特にお伝えしたいことです。
離婚前の地方税制度上の子どもの扶養をどちらに入れるかで、離婚後に受給できる児童扶養手当の金額が変わることがあります(家庭の状況で最適解が変わるので一概に断定はできません)。
例えば離婚前、配偶者に子どもの扶養が付いていた場合、離婚後ご自身は子どもがいても「扶養ゼロ人」とされ、児童扶養手当の所得限度額が減ってしまいます。全額受給できたものが減額もしくは受給なしとされる場合も多々あります。
金額的にも年間で数十万円変わってくるため、離婚協議の段階でこの視点があると、リスクを減らせます。
3. パート+副業は「時間の余白」を回復させやすい
特に子どもが小さい時期は、収入の最大化よりも「家が回ること」「心身が壊れないこと」が、長期的には最も強い資産になります。心身の不調があると、そもそも働くこと自体が難しくなってしまうのです。
「私は大丈夫」そう思っていても、体調を崩す方もいらっしゃるので、心身ともに健康を維持できる働き方を考えていきましょう。
そして、時間的なこと以上に「やりたい仕事かどうか」が何よりも健康や対人関係に左右します。自分が楽しいと思えている時間をプラスしてみてくださいね。
4. 教育訓練給付金など「学びを制度で支える」選択肢も持つ
教育訓練給付金は条件がありますが、対象講座であれば費用の一部が戻る仕組みがあります。
【学びに関する支援と支給額(2025年時点)】
| 制度名 | 対象者 | 支給額・支援内容 | 支給期間 | 主な条件 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 雇用保険加入期間3年以上(初回1年以上) | 受講費用の20% 上限10万円 | 講座修了後 | 厚生労働大臣指定講座の受講・修了 | ハローワーク |
| 特定一般教育訓練給付金 | 雇用保険加入期間3年以上(初回1年以上) | 受講費用の40% 上限20万円 ※条件付きで50%(上限25万円) | 講座修了後 | 速やかな再就職に資する資格取得 | ハローワーク |
| 専門実践教育訓練給付金 | 雇用保険加入期間3年以上(初回2年以上) | 受講費用の50% 年間上限40万円 ※条件付きで70%(総額上限168万円) | 受講中+修了後 | 看護師・保育士等の専門資格取得 | ハローワーク |
| 教育訓練支援給付金 | 専門実践教育訓練受講中の失業者(45歳未満) | 賃金日額の60%相当 ※2027年3月末まで80% | 訓練受講中 | 専門実践教育訓練給付金との併用 | ハローワーク |
| 求職者支援制度 (職業訓練受講給付金) | 雇用保険を受給できない求職者 | 月額10万円+交通費 (職業訓練は無料) | 訓練期間中 | 本人月収8万円以下 世帯月収30万円以下 世帯資産300万円以下 全訓練日出席 | ハローワーク |
| 高等職業訓練促進給付金 | 児童扶養手当受給者またはそれに準じるひとり親 | 【非課税世帯】月額10万円 (最後の12ヶ月14万円) 【課税世帯】月額7万500円 (最後の12ヶ月11万500円) | 最大4年間 | 看護師・保育士等の養成機関で6ヶ月以上修業 | 自治体 子育て支援課・ ひとり親支援窓口 |
| ひとり親家庭自立支援 教育訓練給付金 | 児童扶養手当受給者またはそれに準じるひとり親 | 受講費用の60% 上限20万円 ※専門性の高い訓練は上限240万円 | 講座修了後 | 就職・キャリアアップに必要な講座受講 | 自治体 子育て支援課・ ひとり親支援窓口 |
| 教育訓練休暇給付金 (2025年10月~創設) | 雇用保険加入者で30日以上の教育訓練休暇を取得 | 賃金の50~80%相当 | 90日・120日・150日 (被保険者期間による) | 会社の就業規則に基づく無給休暇 自主的なスキルアップ | ハローワーク |
| 技能習得手当 | 雇用保険受給資格者で公共職業訓練受講者 | 受講手当:日額500円(上限40日分) 通勤手当:交通費実費 | 訓練期間中 | ハローワークの公共職業訓練受講 | ハローワーク |
| 訓練延長給付 | 雇用保険受給資格者で公共職業訓練受講者 | 基本手当を訓練終了まで延長支給 | 最大2年間 | 訓練開始時に所定給付日数が一定以上残っている | ハローワーク |
もし「今の仕事を続けるのが限界」「でも転職も怖い」なら、制度を使って”移動のための準備期間”を作るのは戦略として有効です。
どれが向いてる?タイプ別の現実的な選び方

正社員が向く人
- 毎月の固定収入の安心が最優先
- 職場の制度(社保・手当)を最大限活用したい
- キャリアを積み上げたい
パートが向く人
- 子どもの体調不良・行事対応が多い
- 時間の余白が必要
- まず生活を整えたい
起業(副業含む)が向く人
- 時間や場所の自由度を上げたい
- 得意を収入に変えたい
- 中長期で収入の天井を外したい
今日からできるスモールステップ
ステップ1:直近1年の数字を把握する
「年収」「手取り」「住民税」「社会保険料」をメモする(給与明細と源泉徴収票でOK)。
ステップ2:自分の所得をざっくり出す
年収−給与所得控除の最低65万円を仮置きしても、最初の地図としては十分。
ステップ3:児童扶養手当の所得制限を確認する
「児童扶養手当 所得制限 表 +あなたの自治体名」で最新表を確認し、自分がどのゾーンか印をつける。
ステップ4:社保加入のラインを把握する
「週の労働時間」「月額賃金」「勤務先の条件」を確認し、社保加入が起きるラインを把握する。
ステップ5:崩れにくい形を一つ作る
週3パート+在宅副業(月1万円でもOK)など、”崩れにくい形”を一つ作ってみる。
正社員が正解かどうかは、あなたと子ども次第
正社員で頑張ることによって、それがあなたの心身と家庭を削っているなら、それは安定の形をしているだけで、中身は危ういこともあります。
選択肢の一つとして、所得を理解して、制度の活用方法を考えていくというのもありではないでしょうか。
その時その時で大事にしたいものは変わるので、初めから固定させておく必要はないかと思います。まずは知るところから、一緒にはじめてみましょう。
【参考文献・出典】
1. 厚生労働省(雇用保険関連)
教育訓練給付金
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html - 政府広報オンライン「教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します」
https://www.gov-online.go.jp/article/201408/entry-8115.html
教育訓練支援給付金
- 厚生労働省「教育訓練支援給付金のご案内」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/001529622.pdf
求職者支援制度(職業訓練受講給付金)
- 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
教育訓練休暇給付金(2025年10月から新たに創設)
- 厚生労働省「厚生労働省からのお知らせ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/06.html - freee「教育訓練休暇給付金とは?2025年10月から始まる新制度の対象者や支給額を解説」
https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/education-and-training-leave-benefits/
リ・スキリング等教育訓練支援融資
- 厚生労働省「リ・スキリング等教育訓練支援融資」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/reskillingtou_shienyushi.html
2. こども家庭庁(ひとり親家庭支援)
高等職業訓練促進給付金
- こども家庭庁「ひとり親家庭への支援について(高等職業訓練促進給付金)」
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/syokugyou-kunren
児童扶養手当
- こども家庭庁「児童扶養手当について」
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidou-fuyou/ - こども家庭庁「児童扶養手当の所得制限の見直し等(令和6年11月1日施行)」
https://www.cfa.go.jp/
3. 自治体の事例(高等職業訓練促進給付金・ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金)
杉並区
- 杉並区「ご存じですか?ひとり親家庭の方への資格取得支援制度(2025年10月改正)」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/s053/news/22526.html
足立区
- 足立区「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」
https://www.city.adachi.tokyo.jp/oyako/k-kyoiku/kosodate/20250804kyoukun.html
大阪市
- 大阪市「高等職業訓練促進給付金等事業のご案内」
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000369077.html
4. その他の参考情報源
給与所得控除(2025年改正)
- 国税庁「令和7年分以後の所得税に適用される給与所得控除の改正のあらまし」
https://www.nta.go.jp/
社会保険の「壁」(106万円・130万円)
- 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html - 政府広報オンライン「『年収の壁』への対応」
https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5288.html
ハローワーク
- ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
※本記事の内容は2025年12月時点の情報に基づいています。制度は改正される可能性がありますので、最新情報は必ず公式サイトや自治体窓口でご確認ください。