「もう、辞めたい。毎日が辛い・・・」長引く心身の不調を抱えながら、なんとかその日を乗り切っている。
「本当は休みたい。」と思いながらも生活のためにムリヤリ体を動かしているあなたに、本当に必要なのは休息と治療ではないでしょうか。
「そうは言っても休めない。わかってはいるのだけど・・・」という悪循環にハマってしまっている方も、少しだけ、この記事を読み進めてみてください。
もしかすると、今の生活を好転させるキッカケは身近にあるのかもしれません。
筆者も数年前までは、まさにその悪循環にハマってしまい抜けられずにいた1人です。
その私は今、障害年金を受給する事によって家事・育児・仕事と治療を両立させる事が出来ています。
経済的な余裕だけで無く、時間に余裕が出来た事でずっと心に抱えていた重たいモヤモヤが晴れ、子供達に笑顔で接する事が出来る様になりました。
1, 障害年金を受け取れるかチェックしてみよう
障害年金と聞くと、どうしても敷居が高く感じたり、障害者が貰うもの。というイメージが強いかもしれません。
しかし、実際は育児中のワーキングママや、20歳前後で心身に不調を抱える学生。アルバイトをしながら生計を維持し、治療と両立している方など幅広い年齢層や疾患の方が対象です。
外見上、誰が見てもわかる様な重い障害で無ければ貰えない。という事ももちろんありません。
どういった症状・条件が受給の対象になるのでしょうか?ここも気になるポイントですよね。
まず、障害年金には障害基礎年金(国民年金に加入している方)と障害厚生年金(厚生年金に加入している方)があり、受給するには下記の条件が必要となります。
参考)障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
障害年金の制度には1~3級までの等級があります。
各等級には障害(症状の状態)の程度が決まっており、病気の種類ではなく障害の程度で判断されるのです。そのため、どんな病名でも受給出来る可能性があります。
先天性で生まれつきの障害であっても、事故によって体の一部が不自由になったり、メンタルの不調や、業務上でのケガが原因の場合でも対象になります。
参考)障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
2,働いているかどうかは重要ではない
障害年金は働いていると貰えない。と思われる方が多いようですが、実際に受給しながら働いている事例は少なくありません。
日本年金機構では3級の受給要件を下記の様に定めています 。
「労働が著しい制限を受ける。又は、労働に著しい制限を加える事を必要とする。」
つまり、障害年金の受給条件は「働いているのか?いないのか?」ではなく「日常生活や労働をするうえで、制限があるのか?制限が必要とされるのか?」なのです。
もちろん、就労状況は等級を判断する審査で大きなポイントの1つにはなります。しかし、「働いている=受給できない」という事ではありません。
また、障害者として働く・・・と聞くと障害者就労支援施設や障害者雇用枠での仕事を意識しがちですが、就業先に制限はなく、一般企業で活躍されている方もたくさんいます。
ここで心配になるのが、障害年金を受給している事で、差別を受けたり偏見の目で見られる事や、今までとは違った扱いをされるのでは無いか?という事だと思います。
受給者の多くが、「会社にバレたくない。誰にも知られたくない。」と考えていますが、障害年金を受給している事が会社にバレる事はありません。
筆者自身、受給して数年が経ちますが今まで職場に申告した事はありませんし、指摘されるような事もありませんでした。
3、障害年金はどれくらいもらえるの?
実際に障害年金をもらうこととなった場合、気になるのが受給額ではないでしょうか?
基本的には自営業など国民健康保険の場合は障害基礎年金だけですが、会社員などで社会保険に加入している場合は障害基礎年金にプラスして障害厚生年金も支給となります。
また、子どもや配偶者がいる場合にはその分の加算があります。
障害基礎年金の年金額
1級 972,250円(81,020円/月)+子どもの加算
2級 777,800円(64,816円/月)+子どもの加算
※子ども(18歳になってから最初の3月31日までの子。又は20未満で障害等級1~2級の状態にある子が対象)の加算金額
2人目まで 224,700円/人、3人目以降 74,900円/人
※障害基礎年金に3級は存在しない。
障害厚生年金額
1級 (報酬比例の年金額:目安960,000~1,920,000円) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(223,800円)〕
2級 (報酬比例の年金額:目安720,000~1,440,000円) + 〔配偶者の加給年金額(223,800円)〕
3級 (報酬比例の年金額:目安120,000~720,000円) 最低保障額 583,400円
※報酬比例の年金額は納付してきた厚生年金の保険料から計算されます。
※3級に配偶者加算は存在しません
事例をもとに計算
〔受給事例〕
- うつ病
- 子ども2人(8歳・10歳)
- シングルマザー
- 厚生年金に加入
- 平成15年3月までの平均年収 2,400,000円 勤続5年
- 平成15年4月以降の平均年収 2,400,000円 勤続5年
- 勤続年数 計10年 平均給料20万円/月
- 2級受給の場合
障害基礎年金:122万5400円
障害厚生年金:15万1272円
障害厚生年金151,272円+障害基礎年金1,225,400円
=年間1,376,672円受給となります。
障害厚生年金の計算式は
平成15年3月まで
標準報酬月額20万円×7.125/1000×(12か月×5年)=85500円/年
平成15年4月以降
標準報酬月額20万円×5.481/1000×(12か月×5年)=65772円/年
合わせると151,272円/年となります。
(配偶者がいないので、加給年金はなし)
4,正社員からパートになった事で、両立ができるように
働きながら年金を受給する事で得られるメリットは大きく、生活や治療にかかる金銭的な不安を緩和する事が出来ます。
金銭面での不安が解消される事で無理なく、今の自分に適した働き方を選択する事が出来るようになるのです。
例えば、筆者は、持病があるためパートという働き方を選択し、労働で得られる収入の不足分を障害年金で補い生計を維持しています。
正職員として働いていた時より収入は減りましたが、パートになった事で残業が無くなり、家事や育児に使える時間が増えた事で心に余裕が出来ました。何より通院する時間や、不調を感じた時に休む事が出来るため、治療と仕事の両立が可能になったのです。
育児と仕事の両立は難しい。という言葉はよく耳にすると思いますが、治療と仕事の両立も同じくらいに難しいものです。とくに育児中のワーキング・マザーの場合、「仕事」「家事」「育児」「治療」を両立しようとすると、自分の事が後回しになり、どうしても「治療」が疎かになりがちではないでしょうか?
障害年金の制度を利用する事で働け無い時の金銭的な不安を減らす事が出来ます。働き方を変えると、時間に余裕を持つ事が出来、心と体の余裕に繋がるでしょう。治療と家事・育児・仕事を両立させる事が現実的になってくるのです。
5,まとめ
障害年金は、就労の有無に関係なく受給できる可能性がある事をお伝えしてきました。
中には障害年金を受給する事に対し、うしろめたさや戸惑いを感じている方がいるかもしれません。
ついつい自分が頑張らなきゃ。と考えてしまう人もいるでしょう。その頑張り、いつまで続けますか?子供のため、家族のためにと頑張る姿は素敵です。でも、笑顔はありますか?子供達と笑い合っていますか?
筆者自身も、障害年金を受給する事をためらっていた時期がありました。しかし、少しだけ勇気を出し、申請手続きに踏み切った今は心と体の余裕が出来、笑う事が増えたのが自分でもわかります。その結果、家庭内は明るくなり、子供の笑顔と笑い声がいつも家の中で聞こえるようになりました。
子供に「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言い、一緒にご飯を食べる生活の中で、心も体も安定していくのを実感しています。
今、心身の不調を抱えながらなんとか頑張って働いている。という方は、是非1度検討してみて下さい。障害年金は前向きに家族と笑顔で生きるために使える制度の1つです。